釜ヶ崎で無料健診 大阪府済生会が高齢日雇い労働者対象に
大阪市西成区の釜ケ崎(あいりん地区)で、恩賜財団大阪府済生会の医師や看護師らが22日から24日まで、高齢の日雇い労働者を対象に、無料健診を行った。3日間で361人が受診、高血圧などの症状があった49人に病院での受診を勧めた。今後、必要に応じて保健指導を行う。 健診を担当したのは、大阪府済生会富田林病院(宮崎俊一院長)など9病院の医師や看護師ら延べ135人。事前の研修会で釜ケ崎の歴史や、済生会の理念などを改めて学び、健診に臨んだ。 会場はあいりんシェルター。健診は毎朝8時30分から10時まで。特別清掃事業の登録者らが列をつくった。 特別清掃事業は、55歳以上の労働者を1日ごとに雇用して、公園や道路などの清掃や除草などの作業をする活動だ。 認定NPO法人釜ヶ崎支援機構(山田實理事長)が大阪府と大阪市から運営を受託。毎朝、労働者を募り、現場に派遣している。 健診は厚生省(当時)社会・援護局長や環境事務次官などを務めた炭谷茂さんが理事長に就任した翌年の2009年からスタート。コロナ禍による休止をはさんで14回目となった。 あいりんシェルターは、野宿を余儀なくされる人々が1日単位で利用できる夜間の緊急避難所だ。定員は約450人。毎日約150人が利用している。 シャワールームなどを備えており、宿泊者以外でも無料で使える。身だしなみを清潔にすることで、野宿者の社会参加を促すことが目的だ。 済生会は、「医療による生活困窮者の救済」を指示した明治天皇の済生勅語によって1911年に創設された。炭谷理事長は「済生会の原点に帰ろう」と、釜ケ崎での健診を提案。釜ヶ崎支援機構と連携して続けてきた。 毎回視察している炭谷理事長は、今回も23日朝に訪問。「早朝の限られた時間内で、迅速かつ安全に健診を行っていただいた。お疲れ様です」。支援機構の山田さんも「健康は『職』の源。感謝しています」と話した。