チュ・ジフン、“照明店”セットに驚いた理由「すべて計算し尽くされて…」<照明店の客人たち>
「ムービング」のカンフルが原作&脚本を担当したドラマ「照明店の客人たち」が12月4日より配信開始した。背筋が寒くなるホラーであり、心温まるヒューマンストーリーでもあるという本作。このほど物語の軸となる“照明店”の店主ウォニョン役のチュ・ジフンをはじめ、看護師ヨンジ役のパク・ボヨン、第1話で謎めいた出会いを果たした男女を演じるオム・テグ&キム・ソリョンの4人に、それぞれ演じたキャラクターについてや撮影時のエピソードなどを聞いた。 【写真】パク・ボヨン、「照明店の客人たち」会見で照明よりまぶしい美スタイルを披露 ■「照明店の客人たち」はどんなストーリー? 「照明店の客人たち」は、始まりと終わりで物語の見え方が180度変わる“カンフル・ユニバース”ならではのヒューマンミステリー。記憶をなくした“奇妙な人々”がさまよう世界で、薄暗い路地裏の照明店に引き寄せられる“客人”たちの事情を描く。 初週に第4話まで配信され、夜通しさまざまな客人を迎えるうちに“奇妙な人”が見えるようになった店主ウォニョン、大事故を経験して“いないはずの人”が見える体質になった看護師ヨンジ、そして夜な夜なバス停で誰かを待つ女性ジヨン(ソリョン)、彼女が妙に気になって声をかける男性ヒョンミン(テグ)は登場したものの、ドラマの全体像が、まだはっきりと見えてこない。 原作は、韓国で累計1億5千万ビューの大ヒットを記録したという人気ウェブトゥーン。クライマックスには、カンフル作品ならではの胸のすく大どんでん返しと伏線回収、心揺さぶる愛のドラマが待ち受けているという。 そんな本作、まず気になるのは物語の重要な舞台である“照明店”だ。事前にシミュレーションCGで細部まで計算し尽くしたものを実際のセットに具現化したという店内は、クリスマスシーズンにぴったりの暖かい光に包まれている。 ■チュ・ジフン「とにかく驚いた」“照明店”セットのガチ過ぎるこだわり ――照明店がとても美しいですが、初めてセットに入られてどんな感想を持たれましたか? チュ・ジフン(以下、ジフン):とにかく驚きましたね。監督とプリプロダクション(撮影前の準備)がうまくいっているという話はしていたんですが、本当に頑張ってくださったんだなということが分かりました。僕らが目で見るときは3Dですが、ドラマを見るときは2Dの画面を見ますよね。そういった構造とか、照明店に登場するさまざまなキャラクターの動線も考えに入れて、店内の照明の大きさとか、その間を抜けていく視線の方向とか、すべて計算して作られていて、とても細かい作業に驚きました。ドラマを見ていただくと、俳優たちの演技を監督や美術監督、撮影監督の意図した通りに感じることができるのではないかと思います。 ――店主ウォニョンはとても独特な雰囲気を持ったキャラクターです。見た目などで工夫されたポイントはありますか? ジフン:私は原作を読んでいないんですが、原作のキャラクターはドラマのイメージとはちょっと違うようです。原作の店主はもっと年齢が上なんですね。でもドラマは僕が出演するわけですから、監督や衣装、ヘアメイクスタッフの皆さんと相談して、年をとっているようにも見えるし、そうでないようにも見える、ちょっとむやみには近寄れない雰囲気の、年齢が正確に分からないようなイメージに設定しました。そのイメージを軸に、衣装や、サングラスをかけること、ヘアスタイルを決めていきました。 ――ジフンさんの今までの作品で一番“静的”なキャラクターじゃないでしょうか。 ジフン:今回サングラスをかけているので、あまり表情が現れないんですね。その分、声のトーンがどのくらい静かなのかを考えました。例えばヒョンジュは娘のように思っているのでそういう時は気持ちが現れたりもしますが、基本的なベースは静かで、対面するキャラクターによって少しトーンが変わる、そういう部分をモニターで確認しながら演技しました。 ■パク・ボヨン、キム・ヒウォン監督は「温かくて繊細な方」 ――看護師のヨンジは“生と死の境目”をさまよう人たちが見える役で、序盤から恐ろしいことを経験するシーンもありましたし、「どの人物が境目にいるのか混乱する」というキャラクターです。これを演技で表現するのは難しいと思います。 パク・ボヨン(以下、ボヨン):確かに、そういう特別な存在を平気に見るのは大変なような気がしますけど、(実際に演じてみたら)その瞬間の驚きだったり怖がったりっていう感情を純粋に表現すれば良かったので、思ったほど大変ではなかったんです。 ――今作の監督は、俳優の先輩でもあるキム・ヒウォンさんです。監督との印象的なエピソードはありますか? ボヨン:監督が俳優業をなさっていらっしゃるから、動線が複雑だったりすると、動きながらセリフを言うのが難しいんじゃないかな、動線をこう変えるのはどうかとおっしゃってご自分で試されることもあって、本当に驚きました。すごくいい現場でした。監督は毎日、撮影が終わった帰りに電話をかけてくださったんです。電話ではいつも「今日はどうだった?大丈夫だった?不便なことはなかった?」とおっしゃってくださって、何か特別な言葉とかメッセージをくださるというよりは、私の言葉を聞いてくださったことが多かったように思います。温かくて繊細な方なんだなと思いました。 ■2回目共演のオム・テグ&キム・ソリョンは相性抜群! ――お二人は今回2回目の共演で、深い縁で結ばれたキャラクターを演じていますね。相性はいかがでしたか? オム・テグ(以下、テグ):すごくよかったです。全8話と短いのが名残惜しいほどでした。 キム・ソリョン(以下、ソリョン):私も、テグさんに初めてお会いした時は会話する機会もあまりなくて残念だったんですが、今回再共演してもっと呼吸がよくなったなと思いました。先輩が気遣ってくださったのでとてもうれしい気持ちで臨みました。 ――テグさんは撮影に入る前、今回の役について準備されたことはありますか? テグ:私はもともと監督とそんなに会話をたくさんするほうではないんですが、今回のキャラクターについては監督と話をたくさんしました。たくさん話して、現場に行ってからは100%監督の言う通りに演じました。 ――ヒョンミンとジヨンのシーンは原作ウェブトゥーンと“完璧にシンクロしている”と話題を集めているようです。実際どうでしたか? ソリョン:原作とのシンクロ率については、結構気にかけていました。ウェブトゥーンでは人物のトーンや声までは分からないので、私ならではの解釈で演技をしたところもあると思うんですが、シンクロ率が高いとおっしゃっていただけているならうれしいです。テグさんは素晴らしい集中力をお持ちの方なので、とても助けられました。 ――原作のウェブトゥーンのキャラクターにシンクロする、という部分で難しかったことはありましたか? ソリョン:私も監督とたくさんお話をしたんですが、監督が声のトーンを少し下げて演技をしたらどうかとおっしゃったこともあって、そのトーンをつかむのに多くの時間を費やしたと思います。個人的には、ジヨンが時間経過とともに疲れて元気がなくなっていく姿を表現したかったんですが、シーンを順番通りに撮影していくわけではないので、それを計算して演技をしなければならなかった、という部分も難しかったように思います。 ■視聴者から聞きたい言葉は「ただ“面白い”の一言」 ――クリスマスを前に配信される心温まるヒューマンミステリーですが、視聴者の皆さんからどんな言葉が上がってほしいですか? ボヨン:私は(韓国語タイトルの)「照明店」という言葉をたくさん聞けたらいいなと思います。作品が話題になって、このタイトルがたくさん聞こえてくる。そういう12月になるといいなと思います。 テグ:脚本とウェブトゥーンを読んで、どんでん返しに僕自身が感じた衝撃と感情、それがご覧になる皆さまにそのまま届くといいなと思います。僕個人としては、ソリョンさんが演じたジヨンとの呼吸がすごくよかったとか、2人の関係にもどんでん返しがある、そういうことが感じてもらえたらいいなと思います。 ソリョン:この作品をご覧いただくと、愛のさまざまな形を見ていただけるんじゃないかなと思います。新しいジャンルを通して、さまざまな形の“愛”が感じられると思いますので、そこに注目してほしいです。私自身としては、新しいジャンルに挑戦するボーダーラインのない俳優として見ていただけたらうれしいです。 ジフン:ただ「面白い」、その一言がいいですね。年末から新年にかけての時期って、なかなか会えない友達や家族と会って愛を伝える、そういう時間じゃないですか。この作品のセリフにもあるんですが、“どこでも人が住む世界”。一つの世界の中にさまざまな関係性、ヒューマニズムがあふれる作品なので、ぜひ楽しみにしてください。 キャスト陣のケミにも期待が高まる「照明店の客人たち」(全8話)はディズニープラスのスターで毎週水曜に2話ずつ独占配信中。次回は12月11日(水)に第5、6話が配信される。 ◆取材・文=酒寄美智子