【青森県・激動2024】国際定期便の再開に沸いた一方、身近な交通機関では廃線や破産が…「岐路に立つ地域交通」を振り返る
RAB青森放送
シリーズ「激動2024」は「岐路に立つ地域交通」です。 海外の定期便が復活し観光の転換期となった一方、身近な「地域の足」は窮地に立たされました。 年明けソウル線の国際定期便が青森空港に到着しました。 新型コロナウイルスの影響で運休してから3年10か月ぶりの再開です。 ★韓国からの利用客 「羽田経由で来ないといけないことが定期便ができて直接来られてうれしいです」 ★韓国へ向かう県民 「カンジャンケジャン、タッカンマリ、たくさん有名なものを食べてきたいと思います」 ★青森放送 菅原厚 キャスター 「台湾からの旅行客を乗せた飛行機が青森空港に到着しました」 10月には台北線も再開、青森とアジアをつなぐ空の定期便がようやく復活しました。 ★宮下知事 「これでまた多くの台湾のみなさんに来ていただいて、インバウンドも新時代を迎えることができると確信しています」 ★台湾から 「今回のスケジュールは農場にりんご狩りに行きます」 「奥入瀬渓流や八甲田ロープウェイに乗ります」 クルーズ船の寄港は過去最多の36回となりました。 ★青森放送 本宮修司記者 「県内の観光施設では定期便の再開によるインバウンド客獲得に期待をよせています」 ねぶたの家ワ・ラッセの入館者は過去最多のペースで推移。 1月から9月までの外国人宿泊客もコロナ禍前を上回りました。 ★ねぶたの家ワ・ラッセ 佐藤理絵係長 「インバウンドがさらに回復するはずみになると思いますので、ひじょうにうれしく思います」 一方、地域交通の要・鉄道は窮地に立たされました。 大雨で被災したJR津軽線について…。 ★今別町 阿部義治町長 「今別町は鉄路復旧を断念することといたしましたので、皆様にこの場をもってお伝えします」 ★小谷 副知事 「県としてはこれまでの協議の経過や地域それぞれの意見を踏まえ、地域の交通を確保していくためには鉄路の廃止もやむを得ないと受け止め、自動車交通への転換をしたいと考えています」 5月、沿線で唯一廃線に反対していた今別町長が鉄路の復旧を断念。 自動車交通への転換が決まりました。 蟹田・三厩間は2027年度春に廃線となる方向で検討されています。 鉄道の窮地は津軽線だけにとどまりませんでした。 慢性的な赤字が続いていた弘南鉄道の大鰐線も…。 ★弘南鉄道 成田敏社長 「大鰐線の運行継続は難しいということで、廃止・休止という判断をここで示しました」 11月、弘南鉄道は2027年度末で運行を休止すると発表、事実上の廃線です。 ★高校生 「すごくびっくりです(通学で)小学校から乗っているので考えられない」 ★中学生 「中学1年生から大鰐線があったので東奥義塾に行きやすくなっていたし、交通手段としてもすごく便利だったのでなくなると思うと悲しい」 新幹線はトラブルが相次ぎ多くの乗客に影響が出ました。 ★構内アナウンス 「下り新函館北斗方面へのご利用のお客様には大変ご迷惑をおかけしております 申し訳ございません」 バスやタクシーは時代への対応を強いられました。 弘前市の弘南バスは16年ぶりに運賃を値上げ。 県内で最も長い歴史を持つタクシー会社が破産。 燃料費や人件費の高騰が交通事業者を苦しめました。 一方、一般のドライバーが有料で客を運ぶ「ライドシェア」が始まるなど新しい可能性を探る動きも出ています。 ★利用客 「とってもよかったです」 「車も売っちゃったし免許も返してしまいましたけれど今回これが出来てよかったです」 インバウンドに重要なアクセスが復活した半面、生活に欠かせない鉄道やバス、タクシーなどは苦境に立たされました。 地域の実情に合った新しい交通のあり方も検討され、地域交通は大きな節目を迎えた1年でした。