中国“20億人”移動の大型連休 多くの訪日観光客…ホンネは?【バンキシャ!】
のべ20億人以上が移動するとみられる、中国の大型連休が始まりました。中国政府が福島第一原発の処理水放出に反発する中、ふたを開けると、多くの中国人観光客が日本を訪れました。「日本の海鮮が楽しみ」と語る人も。その意識の差はどこからくるのでしょうか。(真相報道バンキシャ!)
9月29日、羽田空港。国慶節の大型連休初日。中国からの旅行客が続々と到着していた。 こちらの2人のお目当ては海産物。処理水についてどう考えているのか? 中国人観光客 「北海道のカニやウニが好きです。(処理水について)あまり気にしていません」 ──(記者)海鮮はしっかり食べる? 中国人観光客 「東京では豊洲市場に行こうと思います」 早速、この日の夜、魚料理を扱う飲食店でアジの干物やどんぶりなどを堪能していた。 9月30日、東京・上野で出会ったのは、初めて日本に来たカップル。2人が食べたものは、マグロとサーモンの海鮮丼。 初来日の中国人観光客 「(処理水のことは)多少は気になりますが、とても味が良かったし価格も安かった」 建国記念日にあたる国慶節を迎え、お祭りムード一色となった中国。この大型連休で、 のべ20億人以上が大移動すると予想されている。日本にも多くの中国人観光客が訪れる一方で、中国国内で過ごす人からはこんな意見が──。 中国国内の旅行者 「安全ではないですよ。日本はいま“汚染された水”を放出しているでしょ。だから国内にいた方がいいと思います」 バンキシャ!は、国慶節の中国人観光客らを取材。すると、処理水問題をめぐり二極化する中国国民の感情が見えてきた。 9月29日、成田空港の到着ロビー。 ──どこから来たんですか? 上海から来た観光客(26) 「上海から」 ──日本語も上手ですけど、どうやって勉強した? 上海から来た観光客(26) 「独学ですね、興味で」 流ちょうな日本語は独学。アニメなどをきっかけに日本が好きになり、10回目の来日だという。 9月30日、上海から来た観光客(26)がやってきたのは東京・吉祥寺。知人に勧められ散歩にきたという。街中で目を止めたのは…。 上海から来た観光客(26) 「めちゃくちゃ日本ぽいと思っています」 ガード下に飲食店がある風景が「日本らしい」という。夕食を食べる店を探すなかで、気になることが…。 上海から来た観光客(26) 「親に今回日本で海鮮食べたよみたいなことを言ったら、何で食べるの?みたいなことはたぶん言われると思う」 中国にいる親には、日本で海産物を食べることを話していないという。 上海から来た観光客(26)は「ちょっとぐらい食べるのは、大丈夫だと思います」「自分の意思ですし、好きなものを食べれば悪くない」と話し、処理水の影響を気にしつつも、日本の食を楽しみたいという。 日本を避ける人もいれば、海鮮丼を食べる人も。なぜ意識の差が生まれるのか? 見せてくれたのは、中国のSNS。若者は様々なメディアをチェックしつつ、自ら調べることで情報を判断しているという。 一方で、上海から来た観光客(26)が「これは高齢者の方が見ることが多い」と話しながら見せてくれたのは、高齢者が良く見るという中国共産党の機関紙「人民日報」のアカウント。 上海から来た観光客(26) 「高齢者は、より政府の発表に注目する」 9月29日の中国国営メディア「中国中央テレビ」の報道では、「福島第一原発の2回目の“核汚染水”放出は、10月5日に始まるという。日本は前にも国際社会から強く反対されたにもかかわらず、8月24日に福島の“核汚染水”の放出が開始された」と日本への批判的な報道が続いている。 中国はいまどういう状況なのか──? バンキシャ!は、中国人と結婚し、現地で通訳として働く日本人に話を聞くことができた。 中国在住の廣井佑樹さん 「怖いというのはある。怖いというより居づらくなる、日本人として」 廣井さんは先月、家族旅行でホテルを予約しようとしたとき、こんな対応をされたという。 中国在住の廣井佑樹さん 「(妻が)『あなたの旦那さん何人?』って聞かれて、妻が日本人って言ったら、『じゃあちょっと待って、公安で確認しないといけないから』『あんなことあったでしょ。いろいろめんどくさいのよ』『だから公安に確認しなきゃいけない』と言われました」 処理水放出の影響は国慶節の予定にも出ているという。 中国在住の廣井佑樹さん 「日本人への風当たりが強いので、(国慶節に)出歩くのはやめようと思った人はいる」 廣井さんも、参加する予定だった飼い犬のイベントを断念するつもりだという。 一方、上海から来た観光客(26)は東京・吉祥寺で9月30日、夕食選びの真っ最中だ。悩んだ末…そば店に決定。セットのサイドメニューを選ぶとき──。 上海から来た観光客(26) 「これは何ですか?」 店員 「じゃこ天は魚の練り物」 「舌触りがザラザラしているような感じ」 上海から来た観光客(26) 「これにしようかな」 海産物を選んだ。 店員 「宇和島のあぶりじゃこ天です」 上海から来た観光客(26) 「こういうにおいなんだ。魚のにおいがしますね」 さらにメインのそばも届き、すかさず写真撮影。初めて食べるじゃこ天のお味は──? 上海から来た観光客(26) 「不思議な味…でもうまいですよ。めちゃくちゃおいしい」 大好きな日本食を堪能した。 バンキシャ 「写真撮ったじゃないですか」 上海から来た観光客(26) 「きょうの昼食とかと合わせて、(SNSに)きょうのダイアリーみたいにあげようと思っています」 この日の夜──。「うまい」というコメントと共に写真が投稿されていた。 上海から来た観光客(26) 「日本へ旅行に来るという選択は悪いものではないと、(中国にいる人に)伝えたい」 (10月1日放送『真相報道バンキシャ!』より)