新川優愛、看護学校のリアルを実直に伝える『いつまでも白い羽根』に好感
新川優愛が不器用でまっすぐなヒロインを演じる『いつまでも白い羽根』(フジテレビ系、土曜よる11時40分)が面白い。看護専門学校を舞台にした藤岡陽子氏の同名小説が原作で、“オトナの土ドラ”枠で7日スタートしすでに2話がオンエアされているが、物語の面白さを生き生きとしたキャストの演技、存在感が盛り上げている。
新川優愛と伊藤沙莉のコンビがすばらしい
新川にとってドラマ初主演作となるが、たとえ他人に嫌われようが正しいと思ったことは言わずにいられない看護学生・木崎瑠美を熱演している。その瑠美と同じ班のメンバーとして出会い友情が芽生える山田千夏役を伊藤沙莉が演じているのだが、この新川と伊藤のコンビネーションがすばらしい。伊藤はルックス的には地味で庶民派のイメージだが、主演映画『獣道』(2017)はもとより、NHK朝ドラ『ひよっこ』(17年度上半期)など脇役で出演したドラマでも忘れられない存在感を残す実力派だ。初ヒロインの新川も、ドラマに映画に舞台に、女優としてのキャリアを着実に重ねてきた。物語が進むにつれて、本領発揮が期待される。大学受験に失敗し、とりあえず看護学校に通っている瑠美(新川)に対し、幼いころ母を病気で亡くしたことをきっかけに看護師になる夢を持ち、必死に努力する千夏(伊藤)と、好対照な2人だが、互いに引き立て合っている。 また、建築家の夫と幼い2人の娘を持つ母でありながら看護学校に通う佐伯典子を酒井美紀が、美貌だがミステリアスでワケありな雰囲気を醸し出す遠野藤香をさとうほなみが、それぞれ好演しているのだが、このドラマ、ことごとくキャスティングがはまっている。2話終盤で登場した先輩看護師役の大和悠河は、さすがのかっこよさだ。 一方、男優陣に目を向けても、千夏の幼なじみで瑠美に一目惚れしてしまう日野瞬也に瀬戸利樹、瑠美の初恋相手となる小児科医・菱川拓海を清原翔、看護学校の校長・番匠光太郎を加藤雅也と充実。千夏の父親で中華料理屋をやりながら男手一つで娘たちを育ててきた山田健司を演じる柳沢慎吾も、効いている。こうした脇役には欠かせないイメージがある柳沢だが、「こういうオヤジ、いるよなあ」と今回はとくにしっくりきている。安定感が求められるポジションを、安定感たっぷりの演技できっちり見せているのはさすがだ。瑠美の母を磐石に演じている榊原郁恵にも、同じことが言えるかもしれない。