ランボルギーニ ガヤルド LP 570-4 スーパーレジェーラは軽量化がいかに重要か教えてくれた【10年ひと昔の新車】
2010年3月のジュネーブオートサロンで発表されたランボルギーニ ガヤルド LP 570-4 スーパーレジェーラが、2010年6月に日本上陸を果たした。イタリア語で「超軽量」を意味する「スーパーレジェーラ」という名前が加えられたこのモデルは、その名のとおり、徹底した軽量化を実現したのが特徴だった。Motor Magazine 誌はその鋭い走りを堪能すべく富士スピードウェイに向かったが、取材当日は無情の雨。その走りはどんなものだったのか、ここではその時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年9月号より) 【写真はこちら】LP560-4に比べて70kgの軽量化が図られた大人ひとり分ほどの重量だが、この効果は非常に大きいようだ(全6枚)
軽量化の目的は、もちろん運動性能の向上にある
たしかに湿度は高いし、局所的な集中豪雨も頻発していたけれど、今年の梅雨は例年と違って一日中雨に降られる日は少なかった。常に雲が動いている感じで、ザッと降ってもそのうちに雲間から陽が射してくる、熱帯地方の天候のようだったと思う。 だからこそ「よりによって」という想いはなおさら強い。何のことかと言えば、富士スピードウェイで開催されたランボルギーニ ガヤルドLP570-4スーパーレジェーラの試乗会だ。 当日は朝から容赦のない雨。梅雨時の富士山周辺で晴天を望むのは虫が良すぎるかも知れないが、それにしても、もう少し手加減してくれてもいいだろうにと思わせる、強く安定した降りだ。 こうなると富士はコース上に水が溜まりやすく、場所によっては川のようになってしまうことも多い。晴れていれば天にも昇る逢瀬のはずだが。超ヘビーウエットで570psもあるスーパーカーを試すのは、いかにガヤルドが4WDとは言え気が重い。 ところで、「スーパーレジェーラ」とはイタリア語で「超軽量」という意味で、ランボルギーニは過去にもこの仕様をリリースしたことがある。今回のLP570-4スーパーレジェーラは、標準型のLP560-4に対して内外装で70kgのウエイトダウンを行い、かつ縦置きミッドシップの5204cc、V型10気筒エンジンも、マネジメントシステムを変更することで+10psの570psを得ている。 このうち、走りに最も大きな影響を及ぼしているのは、やはり軽量化である。ノーマルのLP570-4も1410kgと十分に軽いのだが、それを1340kgまで落としているのだから、実用車の燃費向上のための軽量化とは違い、運動性能にまで大きな影響を与えているはずと考えるのが至極自然である。 軽量化の手段は内外装における材質置換を中心としている。活躍しているのはボーイング社やワシントン大学との共同で技術的な確立を見たカーボンファイバーで、エクステリアではフロント/サイド下部から巨大なリアスポイラー(オプション)といった空力付加物に採用。エンジンルームはカーボンの枠に透明なポリカーボネート製カバーを加え、かつ各部をLEDでライティングすることでV10エンジンを視覚的に浮き上がらせる演出を施している。 これらにより、エクステリアでマイナス27kg。内装もシートのカーボンフレーム化やアルカンタラの肉薄化、センタートンネルカバーやドアトリムにもカーボンを使うことでマイナス43kg。合計70kgのシェイプアップが達成されているのである。 その目的は、もちろん運動性能の向上にある。ランボルギーニの開発における2007年までのテーマは、1:スタイリングデザイン 2:トップスピード 3:加速 4:ハンドリングの優先順位だったという。 しかし最高速を誇っても、それを体験できるのはサーキットなどに限られる。フォルクスワーゲングループの一員となることで、信頼性や扱いやすを飛躍的に高めてきた近年のランボルギーにとって、性能は誇るものから味わうものへと変化して来たと言っても良いのだろう。 そこで2007年以降の開発優先順位は、1番のスタイリングデザインは不動なものの、2番手にハンドリング、3番目に加速、4番目にトップスピードと改めた。簡単に言えばワインディングで振り回しても十分に楽しめるガヤルドを目指したわけだ。