寿司屋でワインを飲んでいるのは日本人だけ…いまインバウンド客が「日本酒」を大絶賛している「驚きの理由」
ホワイトチーズにも合う日本酒
日本産ウィスキーが世界市場で爆発的人気となり、価格高騰が続いているのは、有名な話だが、インバウンド回復とともに、いま日本酒人気が高まっているようだ。『獺祭』がパリやニューヨークで認知されてきたことがきっかけとなったのか、今や外国人がそれぞれの楽しみ方で日本酒を味わっている。 【写真】人気アニメーター米山舞さんが作成した「お酒のキャラクター」! 「日本酒は“シレネ”というブルガリアのホワイトチーズに合うので、とても好きです。日本食のメニューでは、焼き魚と大根おろしに日本酒という組み合わせが好きですね。熱燗でも冷酒でもおいしく飲めるお酒は、世界中を探してもなかなかありませんね」(日本で貿易会社を経営するブルガリア人のアンドヴ・イヴァンさん) 「トップクオリティの高級な日本酒は、素晴らしいですね。安い日本酒は料理酒として使っています」(フリー英会話講師の英国人、ガリー・ゴードンさん) このように外国人の日本酒に対する知識が深く、驚かされることがある。 全国約1700社の酒類メーカーが所属する日本酒業界最大の団体、日本酒造組合中央会によると、2023年度の日本酒の輸出総額は410億8000万円。輸出量にすると2万9000キロリットルとなるという。 しかも1リットルあたりの日本酒の輸出金額は、1407円で、10年前の650円に比べると2倍以上の上昇となり、いかに質の高いプレミアムな日本酒が求められるようになったことがわかる。 海外で長く続いている日本食ブームにより、プレミアムな美味しい日本酒の存在に気づいた外国人が多いと言われているが、実際に日本に訪れた外国人旅行客は、どのくらい日本酒に興味を持っているのか。
日本酒=ライスワインとして
京都市左京区で外国人観光客向けの酒蔵見学を開催している、松井酒造代表取締役社長の松井治右衛門さんにお話を聞いた。 松井酒造は、2026年に創業300年を迎える老舗の酒蔵で、貴船神社や北野天満宮など京都の有名な寺社仏閣に日本酒を納めている。また、海外のコンテストにも積極的に参加し、インターナショナルワインチャレンジ(IWC)やKura Masterなどで数々の栄誉ある賞を受賞している。 京阪本線の出町柳駅から徒歩8分。静かな住宅街に位置するが、店内を覗くとカウンター内の店員もグラスを傾けて談笑する客もほぼ外国人だけの空間で、ここが日本だということを忘れてしまいそうな雰囲気だった。 ――英語での酒蔵見学はいつから始まったのですか? また、1日にどのくらいのインバウンド客が訪れるのでしょうか? 「2009年、名古屋大学教授のご友人が海外から見学に来たのをきっかけに、英語での酒蔵見学が始まりました。2019年にはラグビーワールドカップが日本で開催され、その頃から店内がいっぱいになるほど、多くのインバウンドのお客様が訪れるようになりました。 コロナの時期はほとんど来なくなってしまいましたが、昨年5月に5類に変更されてからは復活しています。 1日に3回から4回、見学の予約を受け付けるのですが、団体客の予約が多い日は、100人ほどいらっしゃいます。特に桜の時期は多かったですね。欧米からのお客様がほとんどで、現在、スタッフはアメリカ人、韓国人、英語が話せる日本人で対応していますが、今後さらに増える場合は、対応を考えないといけないですね。 ただ現状、中国からのお客様はそれほど多くないので、開拓の余地があると考えています。お客様の反応としては、日本酒の飲み方を聞いてくる方が多いので、少しずつ香を楽しみながらワインのように味わってくださいと説明しています。海外で日本酒は、ライスワインとも呼ばれているのですよ」