血統で見抜く新馬の力! ノームコアの仔シルバーレインはスピードの持続性能◎、ローブティサージュの仔ラトラースはパワータイプ
新馬戦における血統の重要性
新馬戦はほかのレースと予想のアプローチが全く異なる。新馬戦以外のレースは基本的に1度以上レースを使った馬たちが走るのに対して新馬戦は全頭が初出走。調教で能力を見定める方法もあるが、実戦で同様の走りができるかは未知数だ。 【マーメイドステークス2024 推奨馬】騎手は京都芝2000mで驚異の複勝率90.9%! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 従って血統面からのアプローチは他のレースに比べて格段に有効だ。そこで今回は血統の牝系にフォーカスして、今週デビュー予定の2頭を血統解説する。血統から想定できる潜在能力や将来性についても深掘りしていく!
6/15(土)東京5R・芝1600m シルバーレイン
祖母クロノロジストは現役時ダート1700mで1勝。母ノームコアはヴィクトリアマイル、香港CとGⅠを2勝している。叔母にはGⅠ・4勝のクロノジェネシスもいて非常に優秀な近親。ラスティックベル牝系で、フサイチエアデール、フサイチリシャール、ビーチサンバなども出ておりファミリーとしても活力抜群だ。 芝適性が高く、末脚の持続性能の高さや豊富なスタミナがファミリーの特徴として挙げられる。また仕上がりも早いので、早期からの活躍も期待できるだろう。 本馬は父がエピファネイアで距離適性はマイルよりもう少し長いところ。調教時計は全体時計こそ目立たないが、坂路で終い3F13.7-12.9-12.5ときちんと加速ラップを踏めている。初戦から結果を出せる体勢が整ったと見ていいだろう。 <血統から想定できる潜在能力> ・馬場適性 芝 ・距離適性 1800~2600m/ベスト2000m ・能力 スピードA 瞬発力A パワーS 持久力S ・同タイプ リスグラシュー ・特徴 早期から活躍できるが古馬になって更に強くなる。非根幹距離適性有 ※持久力とは・・・スピードの持続力
6/16(日)京都5R・芝1600m ラトラース
日本での牝祖は3代母リッチアフェアー。祖母プチノワールからの分岐の活躍が目立つが、それ以外の産駒でもファミリーは広がっている。しかし中央で勝ち上がれる馬はそう多くなく、プチノワールの分岐を除けばリッチアフェアー牝系の代表馬はJRA・4勝でOP級のアドマイヤロケット、孫世代では3勝クラスのボンオムトゥックが出ている程度。本馬の4代母であるMuch Too Riskyが非常に優秀な繁殖牝馬で、その産駒にはヨークシャーオークス2着のホワイトウォーターアフェア、同じくヨークシャーオークス2着のShort Skirtがいる。 ホワイトウォーターアフェアは繁殖として日本に輸入されていて、アサクサデンエン、スウィフトカレント、ヴィクトワールピサの母としての名のほうが有名だろう。またShort Skirtの分岐からも22年のBCターフ、今年のドバイシーマCを勝ったRebel's Romanceが出ていたり、そのほかの3代母を根幹とするファミリーからもアメリカ芝重賞4勝のFactor Thisなどが出ていて、牝系としては現在も活力を保っている。持続的な末脚が魅力で捲っていくような競馬もできる。基本的には芝適性が高く、マイル~中距離での活躍が目立っている。 本馬の母、ローブティサージュはリッチアフェアー牝系の中でも最大の活躍馬で阪神JFとキーンランドCを勝利している。本馬の半兄のリアンティサージュ(父オルフェーヴル)がJRA・4勝でOP馬となっていて、繁殖としても優秀だ。本馬はキズナを父に迎えて少しパワータイプに出ている。従ってスピード勝負は厳しく、後々はダートで走る可能性もある。仕上がりは早いファミリーで、なおかつ仕上げの早い中内田充正厩舎ということで2歳の今の時期なら筋肉の柔らかさもあり走ってくるだろう。 <血統から想定できる潜在能力> ・馬場適性 早期は芝、後々ダートも対応可能 ・距離適性 1400~2000m/ベスト1600m ・能力 スピードB 瞬発力B パワーS 持久力A ・同タイプ サリオス ・特徴 早熟、パワータイプ ※持久力とは・・・スピードの持続力 【ライタープロフィール】 貴シンジ 競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
貴シンジ