中国不動産業界に変化が… 日本の“気配り商品”に商機【WBS】
中国で進むマンション二極化
その一方で、富裕層向けの不動産で沸く街もあります。南部にある屈指のリゾート地、海南島です。 「こちらは地中海をイメージしてつられた街ということで、ユニークな植生に塀や壁は全て白で統一されています。街を歩いてみると、異国情緒に浸ることができます」(菅野記者) そのうちの一軒を訪ねました。一見、普通の家に見えますが、地上だけではなく地下にも部屋が作られています。さらに家の裏には大きな庭もありました。ただこの街の魅力は豪華な住宅だけではありません。街では音楽祭や映画祭を定期的に開催。文化の発信地になっているのです。
こうした付加価値が人気を呼び、新しい物件も次々に登場しています。実はここに日系企業は大きく食い込んでいます。それがパナソニックです。 「健康」をテーマに設計された部屋には20種類以上のパナソニック製品が採用されています。自動洗浄のついた最新式のトイレに、エアコンはナノイーの機能付き。さらにキッチンの家電や調理器具そして建具も、全てがパナソニック製です。 「この引き出し式の食器棚はパナソニックの主力商品で非常に便利。中国で非常に人気がある」(パナソニック中国・北東アジア社の徐和平さん) 3LDKでおよそ170平方メートルの価格は、日本円で1億6000万円以上。日本生まれの気配りが効いた商品が受け入れられているといいます。 中国では多くの企業がしのぎを削っていますが、実は家電から住宅設備までを一貫して手がけることができるのは、パナソニックだけだといいます。不動産業の不振が続く中、パナソニックは付加価値のある商品を武器に、住宅向けの事業を強化しているのです。 「中国の社会はいろいろな意味で転換点を迎えている。住宅では『買えば必ず上がる』から『いい物件だけが値上がりする』へ。日本が20~30年前に経験してきたノウハウが生きる市場になってくると考えると、できる手を次々と提案していくことが求められているんじゃないか」(パナソニックホールディングスの本間哲朗副社長) ※ワールドビジネスサテライト