日本発祥の芸術品「スカジャン」の魅力とテーラー東洋の想い
ー2022年には横須賀美術館で「スカジャン展」が開催されました。この意味をどのように捉えていますか。 私たちはスカジャンの魅力を広く知ってもらおうと、つねに発信を続けてきました。ヴィンテージスカジャンの復刻だけでなく、本を出版してきたのもその一環です。 十年ほど前まではスカジャンの歴史背景を知らない方も多かったと思いますが、スカジャンに縁の深い横須賀の地で展覧会が開催される。日本発祥の芸術的な洋服が、美術館に展示される。やっとスカジャンの魅力が認められたんだという嬉しさがあります。 「スカジャン展」ではテーラー東洋が所蔵するヴィンテージスカジャン約140点の展示・監修をご依頼いただき、私も会場に立ちましたが、老若男女、国籍も問わず、さまざまな層の方が興味を持って来場してくれました。これは本当に喜ばしいことです。
ー最近では、ファッションブランドとのコラボも積極的に進められているようですね。 お話してきたように、私たちは「スカジャンを文化として継承する」ためにヴィンテージの復刻、そしてスカジャンの歴史を語り続けてきました。当時の職人たちに敬意を表して良いものを作り、興味を持って着ていただき、スカジャンのストーリーを知ってもらう。 その理念に共感していただき、光栄なことに近年、クロムハーツ、コムデギャルソン、ヨウジヤマモトをはじめ、錚々たるブランドの方々からコラボレーションのお声がけをいただいています。また、コラボをきっかけに「スカジャン」に興味を持ってくれる層が広がっているのも嬉しく感じています。 自社の製品でも、他社様とのコラボレーションでも、私たちが作るスカジャンに違いはありません。いろいろなコラボレーションのお声がけをいただきますが、デザインや納期の兼ね合いで良いものが生まれないと判断した場合、心苦しいのですがお断りさせていただくこともあります。良いものを作る、という軸は揺らぎません。
ースカジャンの文化を広めていくために、これからどのような活動を行っていきますか。 テーラー東洋では毎年、春と秋の2回に分けてスカジャンのリリースをしているのですが、注目してくださっている皆様の期待を裏切らないよう、さらに魅力的なスカジャンを作っていきます。 また、2022年の横須賀美術館での「スカジャン展」のように、ヴィンテージスカジャンを一堂に会した展覧会なども再びできたら素晴らしいですね。多くの人にスカジャンを認知してもらえる良い機会ですし、先人が作った芸術品を改めて見直してもらえるのではと思います。