技術革新指数は世界13位、なぜ日本の「研究開発力」は“オワコン”化したのか?
人材流出の懸念は?海外留学とのジレンマ
ただし海外留学の促進は結局のところ、かえって人材の流出加速につながる懸念もあります。専門分野をきわめるために一度海外に出てから、再び日本に戻ってくるメリットを期待できるよう、しっかり納得できる研究者の現実的なサクセスストーリーを示せるかどうかが重要になりそうです。 今回は有識者会議の報告書をもとに、この国の研究力を引き上げるためのボトルネックとなっている人材不足の問題についてみてきました。 政府が従前から掲げている「博士人材活躍プラン」では、2040年に人口100万人あたりの博士号取得者数を世界トップレベルに引き上げるとの目標を掲げています。 博士課程への進学率は足元では久々に上向きつつあるものの、壮大な構想を夢物語で終わらせないため、研究者たちが魅力的かつ現実的なキャリアプランを持てる環境を整備することは簡単ではなさそうです。
執筆:佐野 圭一、編集:ジャーナリスト 川辺 和将