THE YELLOW MONKEY、1.5万字超えのインタビューを掲載。“復活ののろし”となるアルバム『Sparkle X』を語る【前編】
――1曲目「SHINE ON」、2曲目「罠」とストレートなロックチューンが続いたあとの「ホテルニュートリノ」ですが、新しい部分で言うとスカのリズムを取り入れたりしていますね。 吉井 とはいえ、78年くらいのスペシャルズ、マッドネスあたりのスカで……新しいつもりでは全くやっていないんです。今作はむしろ「やってなかった」シリーズのほうが多い。「やっていそうで、これやってなかった」みたいなアーカイブを探したかもしれません。その中で、「ホテルニュートリノ」は新しいTHE YELLOW MONKEYの表情があって。再生回数なんかも伸びていましたし。「こういう曲好きなんだ」という参考になりました。 EMMA この曲は、アルバムを作る第1弾で、メンバーと合わせた曲だったので、「新しいステージに行ける」というスタート地点ならではの意気込みもありました。新鮮さももちろんあったし、この曲のおかげで、「ここからまた10枚目のアルバムを作るんだな」っていう気持ちにもなりました。 ――「ホテルニュートリノ」を含む、アルバムの前半は最初のほうにできたんですか。 吉井 ですね。わりと作った順に近のかな? ANNIE 若干、入れ替えているけど。 吉井 うん。でも、そういう傾向はあるかもしれない。 ――「ホテルニュートリノ」では、歌詞に<人生の7割は予告編で 残りの命 数えた時に本編が始まる>とありますが、東京ドームのライブでも感じましたが、ここに吉井さんの思いが込められている気がしました。 吉井 確かに。個人的な話ですが、自分の喉の病気は、一般的に言う、生きるか死ぬかみたいな病気だったので、「いつまでも命ってあるもんじゃない」と痛感しました。それと同時に、すごく背筋が伸びて。40代を超えてくると、切羽詰まった危機感とかロックスピリッツをキープするのが難しいというか。結構、惰性でやってしまう部分もありますが、たぶん聴いてくださる人の中にも同じような状況の人もいると思うので、ここでできるロックってなんだろうと考えて。これまでは、ベタなことを真正面から歌ってこなかったんですけど、改めて本来の命とか生きることについて考えたし、必然的にいろんな曲の歌詞にそういう要素が入ってきました。だから今回歌詞についてはあまり悩まなかったです。例えば、僕は、デヴィット・ボウイが大好きですが、彼がガンになって死を宣告されてからの作品がすごくクリエイティブになったんですね。人ってそうやって余命のことを考えたときに、新しいアートができるような気がして。僕自身も、一つの作品として意味があったと思いますね。 ――メンバーのみなさんは、そういう吉井さんの変化について、肌で感じたところはありましたか。 HEESEY 僕らも1番身近にいて、紆余曲折をずっとそばで見ていて、共有してたところもあります。それは作風にも出ているんじゃないかと。デモを作って、それをメンバーで共有する、その時点ですごく感じていましたから。まず、「ホテルニュートリノ」ができて、間があいて1曲きたのが「罠」で。それ以降出てくる曲がやっぱりすごく、経験に基づいたもので、彼の心情を曲から読みとったところもありました。 ANNIE 今までの感じだとね、LOVINってオブラートに包んでくるのかなと思っていたんだけど、詞ができてきたときに、こんなストレートに来るんだと思って。最初に「ホテルニュートリノ」が来たときに、心境の変化を実感しましたね。オブラートに包まない。 吉井 オブラートに包まず、ビブラートをかけながら。 EMMA ちょっと湿っぽくなると、こういうの入れてくるんです(笑)。メンバーの1人がこういうことになると、やっぱり時間は大切だなと思いました。再集結したけど、時間は限られていると再認識させられたし、そこでもバンドのパワーが強くなった気はします。 ――確かに。すごく4人の絆というか、そういったものが強くなった。 ANNIE そうじゃないかと。それに、単純に音を出せて楽しかったですよね。バンドが続けられるかどうかもわからない状況だったわけじゃないですか。それがまたレコーディングができるということで。そういう喜びの音をすごく感じました。
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