弁護側『無罪判決の確信持てた』 検察側『主張すべきは主張できた』 袴田さん再審公判ヤマ場の3日間終わる 静岡地裁
袴田事件の再審は27日、犯行着衣とされた5点の衣類の血痕について法医学者ら5人が同時に証言に立つ対質が行われました。全員が1年以上みそに漬かった血痕が黒くなる理論を否定しませんでした。 船引とわ記者:「10年前のきょう、静岡地裁で再審開始決定が出されました。節目の日に裁判の行方を左右する証人尋問は佳境を迎えました」
袴田巌さん(88)は1966年、旧清水市でみそ会社専務一家4人を殺害したなどとして死刑が確定しています。袴田さんの姉ひで子さん(91)は、3日連続となる公判にも関わらず、落ち着いた様子で静岡地裁に入りました。
再審では事件から1年2カ月後にみそタンクから見つかった5点の衣類に付いた血痕に赤みが残るかどうかで検察側、弁護側双方の主張が激しく対立。 25日から27日まで、血痕の色について法医学者ら5人が証言に立ちました。検察側の証人は「赤みが残る可能性はある」という見解を示す一方、弁護側の専門家は「赤みは残らない」と反論しました。
12回目となる27日の再審公判では、5人の証人全員同時に尋問する対質が行われました。 和田佳代子記者:「証言台の前に5人が並び、圧迫感がある中行われた体質は、同じ質問に対する弁護側と検察側の意見が比較できて、非常に分かりやすく、端的に答えている印象でした」
1年以上みそにつかった血痕が黒褐色化することに異論があるかどうか、裁判所から問われた検察側の証人、久留米大の神田芳郎教授は「一般論と言う点では否定しない」と答えました。酸素濃度などの阻害因子を考慮しなければ、全員が黒褐色化することを認めた形になりました。 一方、弁護側の証人、旭川医科大の清水恵子教授ら3人は、低酸素濃度では化学反応の速度は落ちることは認めつつも、一貫して「赤みは残らない」と主張しました。