ついに「600e」日本上陸! フィアットらしい電動BセグSUV。な予感…追って3気筒エンジン搭載のMHEVも【週刊チンクエチェントVol.45】
日本では絶妙な3色の展開
その好印象に輪をかけていたのが、ボディカラーだ。発表会ではキーカラーのサンセットオレンジが目立っていたが、日本市場ではそれに加えてスカイブルーとホワイトという3色展開。その色味が絶妙で、かなりいいのだ。ちなみに本国ではほかにSABBIA(砂)、VERDE MARE(海の緑)、RED(by RED=エイズ対策プログラム支援/赤)、NERO(黒)が用意されている。昨年の6月に宣言したとおり“イタリアの海、太陽、大地、空からインスピレーションを得た”色だけで構成されていて、グレーはなし。そういえば600eのアイボリーを基調としたインテリアにも、ところどころに鮮やかなブルーの刺繍やステッチが施されている。イタリアは色彩の国。こういうのが“らしさ”なんだよな、なんて感じられて嬉しい気分になった。 肝心のメカニズムはどうか。セイチェントの基本骨格は、ステランティスの電動化車両用モジュラープラットフォーム、eCMPだ。ジープ アベンジャー、アルファ ロメオ ジュニア、ランチア イプシロン、そして旧PSA系フレンチ・ブランドの各モデルと、基本を同じくしている。セイチェントは、そのeCMPの最新版を採用してる。 実は7月に同じ最新版eCMPを使ったアルファ ロメオ「ジュニア」を本国で試乗してきたのだけど、そちらは高性能モデルだったため、様々な部分に手が加えられていた。セイチェントのプラットフォームはそうした特別なチューンナップのようなことは行われておらず、いわば標準仕様のようなものだという。eCMPのベーシックな底力、本質的な良さのようなモノが、このクルマで表現されているわけだ。
パワートレインはバッテリーEVとマイルドハイブリッド
そこに搭載されるパワートレインは、2系統。先ほども記したとおり、バッテリーEV、そして1.2L 3気筒にe-DCTと呼ばれるモーター内蔵トランスミッションを組み合わせたマイルドハイブリッド、だ。今回はじめに上陸したバッテリーEVの600eは、54kWhのリチウムイオンバッテリーと前輪を駆動するシングルモーターの組み合わせ。最高出力は156ps、最大トルクは270Nmと、ジープ「アベンジャー」やランチア「イプシロン」などの姉妹車、それに内燃エンジンの500Xとほぼ同じ数値だ。一方で車重は500Xより170kg重い計算で、それをモーター特有の瞬間的に立ち上がるトルク特性がどう補っているのか。実は今から1週間後に試乗する予定になってるので、いずれここで印象をお届けする機会もあるかもしれない。……いや、間違いなくあるな。だって皆さん、興味あるでしょ? そうそう、もうひとつ皆さんが気になるのは、600eの航続距離だろう。WLTCモードで493km。実用上は環境その他で変わってくるけど、カタログデータの6~8割ぐらいと考えたら、ざっくり300kmから400kmは走ってくれそうな計算だ。それって通常ならば充分に日常使いできるといえる範疇にあるんじゃないか? まぁほかにも説明しておきたいことは山ほどあるのだけど、ほんとに山ほどあって記事が絵巻物みたいになっちゃうから、今日の段階ではここまで。