スポーツカーっていうかまんまレーシングカーじゃね? かのゴードン・マレーも携わった「キャパロT1」の怪物っぷり
レーシングカー顔負けのスペック
全長×全幅×全高で4066×1990×1076mm。ホイールベースは2900mmというディメンジョンをもつT1だが、驚くべきはその重量だ。徹底した軽量化が行われた結果、その数字は乾燥重量で470kgにまで低減された。 その軽量性を象徴するのがインテリアのフィニッシュだ。T1のキャビンはふたり乗りで、走りに悪影響を及ぼす余分な重量を減らすためにアメニティや贅沢なトリム類は一切ない。その代わりにヘッドプロテクションシステムや、HANSデバイスに対応した運転席と助手席の6点式フルハーネス、高強度スチール製ロールフープによる中央セーフティセル、ファイアシステムなどが装備されている。 ダッシュボードは多機能で、レースデータの記録はもちろん、トラクションコントロールやローンチコントロール用の設定スイッチもここに備わる。 カーボンファイバーとアルミニウム製ハニカム素材で構成されるモノコックをセンターにレイアウトし、リヤにはチューブラースペースフレームをフィットするT1。このサブフレーム上に搭載されるエンジンは、3496ccのオールアルミニウム製V型8気筒自然吸気だ。 潤滑方式はもちろんドライサンプ。バンク角は90度でエンジンの単体重量は116kgとこれもまた軽量だ。最高出力と最大トルクは、575馬力/10500rpm、420Nm/9000rpmと発表されており、さらにメタノール燃料使用時には最高出力は700馬力に達するという。 組み合わせられるミッションはマグネシウムとカーボン製のヒューランド製6速シーケンシャル。タイヤのセットアップにもよるが、0-100km/h加速は2.5秒以下で、それをこなす実力をもつということだ。最高速は322km/hとオフィシャルには発表されている。 小規模ながら本格的なスポーツカー作りに挑んだキャパロ。このような野心に満ち溢れたメーカーがあるからこそ、イギリスのスポーツカー事情は面白いのだ。もちろんいまでも新たな夢を追って、多くの野心家がスポーツカー作りのプランを自らの胸に描いていることだろう。
山崎元裕