ウォール街のリスク志向、ZIRP期のセオリー覆す-誰もが強気
(ブルームバーグ): ウォール街の守旧派には、必然のように思われた。債券が再びまともな利回りを提供し始めれば、金利がゼロだったころに隆盛を極めたリスク志向は失われるだろうと。
しかし、現実はそうではない。2年物の米国債利回りは4月の大半、5%前後で推移していたが、見込まれていた投機の後退はまだ実現していない。
ビットコインが上昇し、株式とコモディティーは急伸。2021年のミーム株熱狂の再来としてゲームストップとAMCエンターテインメント・ホールディングスの株価が一時急騰した17日までの5日間を考えたい。
リスクフリーレートは健全だが、オプションを売る上場投資信託(ETF)や仕組み商品といったより手の込んだ形の利回り追求を抑えることはほとんどできなかった。
グローバルX・ETFsがまとめたデータによると、デリバティブ(金融派生商品)を利用して現金支払いを増やすETFには、1-4月に130億ドル(約2兆円)の新規資金が集まった。
投機的資産や複雑な投資商品への熱狂は、投資家がより安全な市場に代替手段を見いだせなかった直接的な結果だというセオリーが、ゼロ金利政策(ZIRP)時代に流行したが、今市場で起きていることはそうした見方とは相いれない。
ロンドンの資産運用会社エブリン・パートナーズのチーフ資産運用オフィサー、エドワード・パーク氏は「財政刺激策によるものであれ、超低金利が長期間続いたことによるものであれ、市場にはまだ大量の資金が流通している」と指摘し、「ゲームストップなどはその兆しだろう」と語った。
ギャンブラースピリッツの強靭(きょうじん)さは、従来の常識を覆し続けている。トランプ前米政権で国家経済会議(NEC)委員長を務めたゲーリー・コーン氏は、投資家のリスクテークを妨げているのは高金利の長期化だと論じた。
モルガン・スタンレーのトレーディングデスクが16日に発表したリポートによれば、現在の主な脅威は過度な悲観論よりもむしろ、ヘッジファンドをはじめとする全ての投資家が強気過ぎて、市場が高揚感の重みで崩壊する危険性があることだという。同じ銘柄への集中が進み、投資家のポジショニングは高水準が続き、何か問題が起きれば、その結果はすぐに出る。