打撃練習する日本ハム・レイエス（撮影・江口和貴）

　日本ハムのフランミル・レイエス外野手（29）が11日、新庄剛志監督（52）からCS突破のキーマンに指名された。大舞台は「大好き」だと豪語する大砲は、エスコンフィールドで行われた全体練習に参加し、12日から始まるポストシーズンへの準備を完了。短期決戦へ向けて集中力を高めている愛称「モーレ」が、CSでもチームを勝利に導く快音を鳴り響かすことを誓った。　　 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　レイエスは意気に感じていた。午後2時半から始まったCS前日会見。キーマンを問われた新庄監督が「個人的な名前はね、そんなに出したくないんで、短期決戦で…」と前フリをした上で「レイエスです」と名前を挙げた。伝え聞いたモーレは「いつも言われている通りに、愉しみながら集中して、勝利に向かって進んでいけたら」と気合を再注入した。 　新庄監督がキーマンに指名した理由は簡潔だ。「後半の勢い、やばくないですか？」。球宴明けは球団記録の25試合連続安打をマークするなど、52試合で打率3割3分5厘、17本塁打、46打点。日本の野球に順応した1年契約のモーレについて「もう引き留め、大変でしたよ…まだ決まってない？　ごめんなさい（笑い）」と冗談を交えながらも全幅の信頼を寄せ、CSも打線の軸に据える。 　レイエスも期待に応える準備はできている。前日練習も軽快にこなし、12日のロッテ先発が佐々木に決まっても「いい球を持っているピッチャーであることはみなさんも知っていると思うんですが、我々もいいバッターがそろっている」と自信はたっぷりだ。 　メジャー、マイナー時代に経験があるポストシーズンは「オフコース、大好きだよ。今から明日がすごい愉しみだ」と話すモーレは最後に“お願い”を切り出した。「明日以降は、ちょっと笑顔が少なかったり“いつもと違う顔”が出るかもしれない。けど、機嫌が悪いとかではなく、集中して勝ちにこだわっている表情なんだ。そこは誤解のないように。マタアシタ！」。真剣な表情こそ愉しんでいる証。キーマン・レイエスが日本シリーズへの扉を開く。【木下大輔】 　◆「楽しむ」ではなく「愉しむ」を使う理由　ともに読みは「たのしむ」だが、「愉しむ」と発信を始めたのは日本ハム伊藤だった。自身のSNSで、こだわりを持って「愉」という文字を使用。「ワーワーやっていると思われるのは嫌なんで」と説明した。ただ「楽しむ」ではなく、1勝の重みを感じながら戦うことに心から喜びを持って臨んでいることを表現するための手段だった。新庄監督も自身のSNSで「愉しむ」と表現。チームの合言葉になっている。