「このままここに住み続けられるだろうか」 広島市西区の市道陥没事故から3カ月 不安抱えたまま年の瀬に
広島市西区福島町の市道陥没事故は26日、発生から3カ月になる。避難した住民の50人以上がいまだ「仮住まい」での生活を余儀なくされている。「年内には落ち着きたかった」「事故がなければこんなことになっていなかったのに」。子育てや暮らしになお不安を抱えたまま、年の瀬が近づく。 【動画で見る】陥没した市道 小学生の息子と市営住宅に住んでいた会社員女性(39)は今月下旬、引っ越し作業に追われていた。事故後に暮らしていたホテルから現場の地下の雨水管工事を受注した業者が用意したマンションに移るためだ。マンションも仮住まい。子どもが転校せずに済むように公営住宅を探しているが、見つからないという。 住んでいた市営住宅は解体が決まった。女性が希望するのはその周辺部だが、「入居できるか分からない」と気をもむ。 一方で事故現場近くに住んでいた古瀬清秀さん(74)は10月中旬に自宅に戻った。外観上は問題ないが、引き戸が自然と閉まり、雨が降ると窓枠のサッシから雨漏りもし始めたという。「事故前とは違う。傾きは収まるのか。このままここに住み続けられるだろうか」と落ち着かない。 市営住宅で暮らしていた高齢の女性はこの3カ月間に避難所、ホテルと移り、今は一時的に賃貸住宅で過ごしている。市営住宅で暮らしていた住民同士で近況を話すこともある。「私を含めて仮住まいの人は多い。今年中に落ち着きたかった」。事故後に落ちた体重も戻らないと、声を落とす。 近づく正月。女性は昨年まで毎年飾っていた鏡餅を準備する気にならないという。「正月は穏やかに過ごそうとみんなで話すけど、今後を考えると疲れてくる」。市によると、ホテルや民間の賃貸住宅などに身を寄せている人は24日時点で31世帯58人に上る。
中国新聞社