【BC】「米国でも素晴らしい景色を…」ウシュバテソーロの了徳寺健二HD広瀬副社長/連載
<西海岸デルマーで米を食う(2)> 遠征馬の馬主関係者が語る「西海岸デルマーで米を食う」第2回はウシュバテソーロ(牡7、高木)を所有する了徳寺健二ホールディングスの広瀬祥吾副社長(33)に桑原幹久記者が意気込みをうかがった。中東ドバイに続き、もう1度、世界一の頂へ-。 ◇ ◇ ◇ 天井が見えない。昨年、ダート開催のドバイワールドCを日本馬として初制覇したウシュバテソーロが、7歳秋を迎えた。春はサウジ、ドバイで2着と力を誇示したが「老い」との戦いが避けられない時期。それでも、広瀬祥吾副社長は言い切る。 「衰えは全く感じないです。夏場はずっと僕が乗っていましたが、活気があって馬体の張りもいい。去年より間違いなく調子はいいです」 違いが出た。前走日本テレビ盃前の中間。元々稽古でずぶいが、ウッドでラスト1ハロン11秒台が楽に出た。レースはウィリアムバローズに逃げきられ2着も、直線は出色の脚。同副社長は「内容は相当強い。体の張りがさらにアップしましたし、調教もぐいぐいと行きたがるくらい。ここ数年とは全然違いますよ」とうなずく。 初渡米の昨年は5着。中団で流れに乗ったが、伸びを欠いた。「上位人気でプレッシャーもありましたし、らしくない競馬になりました。ゲート試験でのトラブルや常歩(なみあし)と速歩は普段の左回りとは逆の右回りだったりなど、環境にとまどったことも影響したかもしれません」。前回は1頭で調整したが、今年は現地でリードポニーを手配。精神面の波を減らすなどのメリットを鑑みて最善策をとる。 機は熟した。上位人気は日欧米の3歳馬3頭。日本馬歴代トップの総獲得賞金を誇る同馬に“伏兵”の感さえ漂うが「相手は関係ない。胸を張っていけます」と意に介さない。ドバイで金色のトロフィーを掲げた同副社長が、勝てばデルマーでも表彰台に立つ。「あの時はすごい景色でした。アメリカでも素晴らしい景色を見たいですね」。日本競馬の歴史を、もう1度変えてみせる。【桑原幹久】 ◆広瀬祥吾(ひろせ・しょうご) 1990年(平2)11月20日生まれ。チェスナットファーム(北海道浦河町)広瀬亨代表の次男。小学時代から乗馬を始め、専大時代の09年全日本総合馬術大会で4位。了徳寺健二ホールディングス副社長。ウシュバテソーロが放牧に使用するチェスナットファーム阿見トレーニングセンターの場長も務める。