橋田壽賀子さんの「大豪邸」を買ったのは“ヤリ手実業家”だった! 「“泉ピン子さんから申し出があったので諦めて”と電話が…」 本人が購入の経緯を明かす
母屋は跡形もなく解体
結局、コトの真偽は不明だが、ともあれ旧橋田邸の家主になった大木氏。「これも何かの縁」と、冨士霊園に赴き橋田さんの文学碑に手を合わせたそうだ。また、土地の広さのわりに格安だったというが、 「とくに築50年近い母屋の老朽化が激しく、屋内に入るとよろけるぐらい、土台から傾いていました。地震でも起きて倒壊すれば、斜面の下に位置するゲストハウスも巻き込まれる恐れがあったため解体するしかなく、母屋の解体やゲストハウスの改修・内装工事に5000万円近くかかりました」(大木氏) 昨年夏に始まった母屋の解体工事は同年12月に完了し、現在は駐車場に様変わりしている。そう、橋田さんが数々の名作を執筆した母屋はすでに跡形も無くなっていたのである。彼女が愛用した多くの家財道具も処分せざるを得なかったというが、 「ゲストハウスに残っていたデスクはそのまま使っています。それから、橋田さんのご趣味だと思われる、メルヘンチックな寝室のクローゼットもそのまま。そうそう、庭の果樹に大きなゆずが実ったので、この間、カットしてお風呂に浮かべました」(同) 生前、橋田さんが収穫を楽しんだ“鬼ゆず”である。外壁は空色からシックな暗い藍色に替わり、新たにウッドデッキが備え付けられた。変わった部分も多いが、そこかしこに橋田さんの名残りがあるそうで、大木氏はこの年末もここで過ごす予定だ。 ピン子も登場する“ドラマ”を経て、旧橋田邸は今風の別荘へと変身を遂げたのだった。
「週刊新潮」2024年12月26日号 掲載
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