260億円の損失「みんなの銀行」大苦戦は、あまりに必然の結果だ 業界トップコンサルタントが分析!日本人が学ぶべき「重大すぎる教訓」とは?
ここで必ずといって登場するものが「ビジネスモデル」です。 ビジネスモデルとは、「どこで(誰で)、どう(何で)儲けるか、そのための事業運営のやりかた」を示したものです。サブスクリプション、プラットフォーマー、D2Cといった言葉はよく耳にすると思います。 ビジネスモデルをコピーすることは(「先行企業をベンチマークする」という言い方もできますが)、さまざまな検討や議論の時間を大幅に省くことができるため、立ち上げまでの時間を大きく短縮できるというメリットがあります。
そして「みんなの銀行」のデジタルバンクも、約10年前から(欧州中心に)流行しはじめたビジネスモデルのコピーにほかなりません。 コピーをすることで多くのメリットがある反面、コピーして真似するだけでは、同じビジネスモデルの他社(たいてい複数社は存在する)との違いが打ち出せず、競争力が出ないというデメリットもあります。 あたりまえのことのようですが、意外にこれを忘れてしまうケースは少なくないのです。 ■「260万円で売却」された有名スタートアップ企業
QRコード型決済というビジネスモデルを早くから展開していたOrigami社がメルカリ社に(たったの)260万円で売却されたことを覚えている読者もいるでしょう。 QRコード型決済というビジネスモデルは、実のところ、どの会社もサービスにたいした違いはありませんし、儲け方が「店舗からの手数料」、成長を決めるのは決済額の増加という点も同じです。 あらためて見るときわめてコモディティ的なサービスといえます(コモディティの定義は「価格以外に差別化要素がない」ということです)。
となると各社が打ち出すべき「違い」は、競合に比べてより多くの利用者数、多くの利用可能店舗ということになってくるはずです。 これらのための施策としては、還元ポイントやキャンペーンの規模、(店舗が負担する)利用手数料の低さや無料試用期間の提供といったものくらいしかありません。そしてその成否を分けるのは資源(ヒト・カネ)投入の差ということになってきます。 Origami社は、先行企業であったにもかかわらず、十分な「違いを打ち出す」前に、後発企業の戦略的な大量の資源投入によって、勝敗をつけられてしまったということなのでしょう。