”森”にコスプレイヤー誘致 神社などフォトスタジオに見立て 開始早々、予約が殺到/兵庫・丹波篠山市
兵庫県丹波市柏原町南多田の会社員、土田翔大さん(30)が、地域の森や神社をフォトスタジオに見立て、アニメや漫画などのキャラクターに扮する愛好家「コスプレイヤー」の撮影会を全国から誘致する取り組み「森のフォトスタジオ―丹波」を始めた。9月から交流サイト(SNS)で発信したところ、関西圏を中心に12月までに約60件もの予約が殺到。土田さんは「ロケーションとしての丹波の森に価値があると思っていたので、その反応が返ってきた」と感じている。
丹波地域に若者を呼び寄せ、地域活性化の一助になることを目指す「森のフォトスタジオ」の第1弾は、丹波篠山市大山地区内にある神社。このほど訪れた20代後半の女性2人は、愛知県と奈良県から参加。テレビアニメ化された人気漫画「ゴールデンカムイ」の主人公、杉元佐一に扮する女性がお堂の前でポーズを決めているところをカメラマンの女性がさまざまな角度からレンズを向けて撮影を楽しんでいた。 女性らはSNSのX(旧ツイッター)で森のフォトスタジオを知り、「撮影は私有地を利用することもあり、許可が大変だった。神社で自由に撮影することはさらに大変」と言い、「森と神社の雰囲気が良い」と撮影に没頭していた。 土田さんの本業はプラスチック部品製造業「土田化学」(丹波市柏原町)の社員。家業を生かして獣害被害を軽減する製品の開発に臨んでいる。会計士が同じという縁で森林資源の活用を模索する一般財団法人・大山振興会(丹波篠山市園田分)から相談を受けた。一方、土田さんはアイドルやアニメなどのサブカルチャーが好きで、コスプレイヤーが自然の中で撮影する機会が限られていることに着目。大山地区を視察する中で、「森と神社が一体となっていて、キャラクターの再現性を高める撮影ができ、駐車場や更衣室が確保できる」条件に合った神社を撮影場所に決め、同振興会の伊勢隆雄代表理事を通して、地元に協力を依頼した。 SNSを通じてコスプレイヤーやカメラマンから意見を募り、8、9月に計7回のプレオープンを実施。こけむして少しカーブする参道や石造りの鳥居、社の雰囲気、木漏れ日など、この神社の風景の魅力や、撮影場所としての森と神社のニーズの高さを再確認。オープンにこぎつけた。 伊勢代表理事は「地域の視点からは到底考えつかないこと。若い人の見方、行動力に敬服する」と感心。土田さんは「大山地区が長年育んできた資産をお預かりし、活用させていただく。地域の資産を守りつつ、経済的にも発展できるよう取り組みたい」と抱負を語り、「丹波篠山であと数カ所のスタジオの候補がある。大山地区で成功させ、全国展開すれば、地方の活性化に寄与できるのでは」と夢を語った。 営業は金、土、日、月曜。予約や問い合わせはホームページから。Xで撮影写真を見ることができる。