山本由伸がIL入りの「緊急事態」…メジャー1年目の”変化”とドジャースの”動向”は…?
エリートなスプリットとユニークなカーブが3割越えの空振り率を維持していたため、低い防御率を維持できていたものの、特に長いイニングを投げる先発投手としては必須な速球系がほとんど使い物にならない状態では、契約額に見合うだけの支配力を打者に見せつけることはできていなかった。
ドジャースコーチ陣の対策
これらの課題に対して山本とドジャースのコーチ陣は様々な策を立てた。まずは投球スタイルの変更だ。5月に入ってからは左打者への内角へカッター、右打者に対しては内角へシンカー、外角へスライダーを導入しスプリット/カーブの縦変化だけでなく、横方向でも打者を攻められるようになった。 特にスライダーについては平均以上の86マイル(約138キロ)でよく落ち曲がるため、「Stuff+」が110以上と優秀な値を記録しており、シーズン通算で空振り率33.3%と新たな決め球を見つけてしまった格好だ。
また、6月に入ってから投球モーションの修正を行った。野球トレーニング施設『Tread Athletics』の共同創業者である Ben Brewster氏によればリリース前のグローブ角度を地面に対して垂直気味に向けるようになったという。これにより胴体の回転速度が上昇し、球速向上につながるという。 事実、変更を加えたとされる6月7日のヤンキース戦では全球種の平均球速が軒並み1.5マイル程度上昇している。 さらにはシーズンを通して少しずつフォーシームの高さが上がっている。フォーシームの高さに反比例する形で、打者がダメージを与える余地が少なくなっており6月の防御率が2試合で0.69と好投を続けている要因だろう。
フォーシームの月別xwOBA
山本の怪我とドジャース先発ローテーション
現地6月15日のロイヤルズ戦で山本は球速の著しい低下を見せ、2イニングを抑えた後に降板してしまった。当初のチームの発表では「上腕三頭筋の張り」であり、大怪我による長期離脱を予防するためにも、一旦15日間の故障者リストに入れ休ませるとされていた。 そして翌日、ドジャースは「右肩腱板損傷」で山本の15日間の故障者リスト入りを発表。現時点では復帰時期などは不明だが、重症でないことを願うばかりだ。 ここまでタイラー・グラスノーに次ぐチーム2位の74回を投げた先発投手の離脱は痛手だが、ドジャースの投手陣全体で見据えれば、それほど大きな影響はないと思われる。 現地水曜日には昨季ルーキーとして124.1回を投げたボビー・ミラーが復帰する予定だ。今季の初登板ではセントルイス・カージナルス相手に6回11奪三振とエース級の活躍を見せていただけに、完全復活に期待したい。 また、球団レジェンドのクレイトン・カーショーが現地水曜日にドジャース傘下シングルAのランチョ・クカモンガ・クエークスにおいてリハビリ登板を開始する予定で、復帰はあと3~4週間で実現するとみられる。 更に回復状況は不明だがダスティン・メイも復帰に向けて調整中だ。このように現状では頭数は足りているので山本にはプレーオフに向けた8月・9月の復帰に向けて、ゆっくり休んでほしい。
ベースボールチャンネル編集部