石破首相、野党と大連立「現時点では」否定 現状打破へ将来的な可能性は排除せず
石破茂首相は6日の記者会見で、野党と大連立を組む可能性について「今の時点で連立、大連立を考えているわけではない」と否定した。昨年末には前向きととれる発言をしていたが、野党各党から否定的な反応が相次いだため、火消しに走った。ただ、首相は将来的な可能性には含みを残しており、少数与党の現状打開へあらゆる選択肢を排除しない構えだ。 発端は昨年12月24日に収録、元旦に放送された文化放送のラジオ番組だった。大連立について首相は「選択肢としてあるだろう」と肯定。一方で「何のために、がない大連立は一歩間違えれば大政翼賛会になる」と述べ、実現には相応の大義名分が必要だとも強調した。 衆院の与党過半数割れを受け、首相は国民民主党や日本維新の会との連携に活路を見いだしてきた。一方で「大連立」となれば、最初に想定されるパートナーは野党第一党の立憲民主党だ。 ただ、立民の野田佳彦代表は4日の会見で「大連立は大きな危機があったときの選択肢だ。平時で、私はそういうことは考えていない」と否定。6日も「自民を下野させて政治の流れを変えていく」と述べ、野党結集で政権交代を目指すと強調した。国民民主と維新も連立入りを否定した。 相次いだ反発を受け、首相は年頭会見になって「今の時点」では大連立などを考えていないと軌道修正した。ただ、発端となった昨年末の発言に関しては「そういう可能性はあるということを申し上げた」として、将来的な「可能性」までは排除しなかった。 一方、公明党の斉藤鉄夫代表は1日のラジオ番組で「大連立の大きな障害は今の選挙制度だ」と述べ、衆院選挙区で1議席を争う制度下での大連立は困難だと指摘した。首相は年頭会見で、選挙制度を巡る「党派を超えた検証」も提起しており、立民などを巻き込むための地ならしともとれるが、道筋が見えているわけではない。(千葉倫之)