円安効果、企業業績拡大への期待反映 東証最高値更新、TOPIXバブル期超え
4日の東京株式市場で、東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比26・29ポイント高の2898・47と、バブル経済期の平成元年12月18日の終値(2884・80)を上回り、約34年半ぶりに史上最高値を付けた。日経平均株価(225種)の終値は前日比332円89銭高の4万913円65銭で、3月22日につけた史上最高値を更新した。円安効果で企業業績が拡大するとの期待を反映した形だ。 ■高まるデフレ脱却期待 「30年にわたるデフレ不況から脱却して、日本経済、株式市場が新たな局面に入ったという意味で、非常に心強い象徴的な動きだ」。4日午後、報道陣の取材に応じた大和証券の藤岡智男専務はこう強調した。 今春に日経平均が先行して最高値を更新した際は、世界的に需要が高まっている半導体関連株など一部の銘柄が牽引する形で株価が上昇した。銀行株などより幅広い銘柄の値動きを示すTOPIXもピークをつけたことで、市場関係者の間では「本格的にデフレから脱却するシグナル」(野村証券の神谷和男ストラテジスト)と期待感が高まっている。 ■海外勢が〝日本買い〟 足元の株価上昇は、円安の追い風を受けた輸出関連企業を中心に、7月下旬から本格化する日本企業の決算発表で業績が上方修正されるとの期待を織り込んだ動きだ。実質賃金がプラスになる時期が近づいているとの期待もある。特に海外投資家が日本株の上昇余地に関心を寄せている。 東京証券取引所が4日発表した東京・名古屋2市場の6月第4週(24~28日)の投資家別株式売買状況によると、外国人投資家は6週ぶりに買い越した。また、令和5年度の外国法人などの株式保有金額は過去最高の320兆4750億円と過去最高を更新している。 野村証券の柏原悟志エグゼキューション・サービス部担当部長は「年内にTOPIXは3200、日経平均は4万4000円に到達する」と、もう一段の上昇を見込む。 一方、マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストも年末にかけて上昇を予想するものの、「秋にかけて日本は自民党総裁選、米国は大統領選と政治リスクがある」と慎重な見方を示した。(永田岳彦)