ストーカー被害を防ぐには? 識者に聞いたSNSの対処法と警察への相談方法
まだ超えてきたら身近な信頼できる代理人にスイッチ
第三者とは弁護士が最適だが、ハードルが高い場合、身近な女性問題の支援団体、親や親戚でもいい。 「なるべく身近な人で、大人で、冷静で、公平な人にスイッチして、そのスイッチされた人が、『じゃあお返ししますので、一度お会いしましょう』と言い、直に会って返してもらってください」 そして返すときも、「これは悪意で返すのではないですよ。あなたが、お断りをしているのに、なおかつまた返信が欲しいとか、要求が強いので、返さざるを得ないんですよ。それで彼女もすごく苦しんでいます」と第三者の口からもう一度、冷静に言ってもらうといい。 物を返すという行為はとても慎重に行う必要があるという。たとえば、今回の事件で被害者は加害者に以前、贈られたプレゼントを郵送で返却してしまった。もちろん、返せという加害者の執拗な要求があったからだ。小早川さんも「彼女もどうしていいか分からず、苦しんだと思う」と理解を示しつつ、間違ったメッセージが伝わった可能性を示唆する。 「物だけが送り返されてくると、『私はこれが迷惑で、あなたが迷惑で、あなたの存在が嫌いで』、というところだけが伝わってしまう可能性があります」 だから、返す理由と彼女が苦しんでいるのを加害者に冷静に伝える代理人の存在が必要なのだという。しかし、専門家にお願いできず、緊急性から被害者の身近な一般人が代理人として物を返す場合、つい相手に対して、「もう近づくな」、「二度とこんなことをするな」と怒りたい気持ちも沸きそうだが、それでは逆効果なのであくまでも冷静に対処してほしい。 「結局、目的は加害者の言い分や、欲求不満のはけ口を、被害者ではなく、第三者が聞きますよという姿勢を見せることが大切なんです。さらに、『彼女にどうしても言いたいことがあるのなら、私が承りますよ』と、理由を交えて渡した後に伝えてください。『彼女は苦しいと言っておりますので、直接の連絡はしないで下さい。今後、直接接触することがあれば警察に相談することになります』と、ルールを提示するのが大事です」 大変な作業だが、代理人が立つことで、被害者は精神的に、かなり楽になるという。代理人も、被害者から話を聞くだけでなく、加害者に直接会うことで、実際の危険度を把握し、一人で悩んでいた被害者に、「彼と会いそうな場所にはいまは行かないほうがいい」といったアドバイスをすることができるという。 代理人が出てきた場合、加害者はどんな態度を見せるのか。 「経験上、第三者の口から被害者の気持ちを聞いた被害者は、初めて冷静に自分の行動を客観視します。被害者に何か伝えたいことがないかと聞かれても、『もうそこまでしてもらう必要はないです。いいですよ、分かりました』と引き下がる人もいれば、あるいは、本当に長々と、被害者との縁を持とうとして、そのときに話し込む人もいます」