ストーカー被害を防ぐには? 識者に聞いたSNSの対処法と警察への相談方法
シンガーソングライターの女子大学生が、東京都小金井市でファンの男に刃物で刺された事件を受けて、交際関係にはない相手からのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使ったストーカー行為への対策に、関心が集まっている。被害者は事前に警察に相談し、対応を求めていたが、ストーカー相談としては処理されず、最終的に被害を防ぐことはできなかった。 誰もが被害に遭う可能性があるいま、どのようにして自分や周囲を守ればよいのだろうか。
今回の事件はそもそも特殊だった!?
今回の事件はこれまでに大きく報道されてきたストーカー事件と違い、元交際相手ではない相手による犯行だった。犯行がエスカレートしていくのに使われたSNSも、嫌がらせ行為を行う媒体としては現在、ストーカー規制法で明確に位置付けられていない。以上の2点から今回、警察の対応が遅れたという見方がある。 だが、今回の事件について、ストーカーの被害者と加害者のケアに長年携わるカウンセラーでNPO法人ヒューマニティ理事長の小早川明子さんは、「ツイッターのやり取りの内容を見れば、ストーカー規制法で保護対象になっても全くおかしくない」という。 ストーカー法の定義は「特定の人に対する恋愛・行為の感情やそれに派生する怨恨の感情を満たす目的」で、つきまといや待ち伏せ、面会や交際の要求、著しく乱暴な言動など8項目にあたる行為をすることだ。適用される行為の一つ「無言電話や連続ファクス」という項目に13年、法改正でメールが加わり、確かにSNSはまだ条文にないが、それでも小早川さんは「SNS云々ではない」と憤る。 今回の事件の被害者と加害者のツイッターでのやり取りを見て、小早川さんは「早い段階で被害者側にもやれることはあったのでは」と話す。一方、ストーカーに遭うのがおそらく初めての若者にとって、状況を客観視し、周りに相談するなどの対処は、難しかったのかもしれないと理解も示す。