ヤクルト小川監督が阪神・岩田の青木への頭部死球に激怒の執念ドロー「しょうがないでは済まされない」
ヤクルトが8日、神宮球場で行われた阪神戦で執念と怒りのドロー劇を演じた。青木が6回二死から阪神の先発、岩田に頭部直撃のデッドボールを受け、両軍がグラウンドで睨み合う一触即発の乱闘寸前の事態に。岩田は85球で危険球退場となり、点差は5点に広がったが、ヤクルトは一丸となり8回に同点に追いつく。延長12回に2点をリードされたが、土壇場に再び同点に。4時間53分に至る大荒れの激闘は7-7の引き分けで幕を下ろした。
冷静な小川監督が会見で内に秘めた怒りを爆発
冷静な小川監督が内に秘めた怒りをぶちまけた。試合後、神宮のクラブハウスでの囲み取材。青木の死球に話が及ぶとスイッチが入った。 「岩田には去年も(青木が)脳震盪を起こされている。しょうがないでは済まされない。頭だから」 6回二死、カウント2-0から岩田の投じた1球が青木の頭部を直撃した。ヘルメットは吹き飛び、青木はバッターボックス内でもんどり打って倒れた。 岩田は「しまった!」と口を丸くして帽子を脱いだ。頭を抱えて寝転がった青木は、むくっと起き上がると血相を変えて岩田をにらみつけた。スタッフ、石井打撃コーチが背中の土を払いながら止めたが、何やら叫びながら、マウンドへ歩み寄ろうとした。小川監督らヤクルトベンチから人が飛び出すと、阪神ベンチからも人が走り出て、やがて両軍のブルペンからも全選手が駆けつけて一触即発、乱闘寸前の輪がホームベース上付近で広がった。 青木と小川監督が怒るのも無理はない。 昨年8月19日の阪神戦でも青木は岩田に頭部へ危険球をぶつけられた。岩田だけではない。青木は昨年7月1日には岩貞からも頭部に当てられ、岩貞はわずか7球で危険球退場。今年の開幕カードでも青木は尾仲に右膝へボールをぶつけられている。昨年から続いている一連の伏線があり、青木は鬼の形相で詰め寄り、小川監督も「しょうがないでは済まされない」と激怒したのだ。 岩田が退場となった時点で審判は警告試合を宣言した。報復行為を避けるための処置で、意図的な危険行為が見られたとき、審判は退場を宣告できることになっている。 チームリーダーの青木を狙われた怒りがヤクルトを一丸にした。 8回である。5点のリードで余裕を見せた阪神は、8回の“守り神”ジョンソンではなく福永を3番手として送った。そこに隙が出た。太田、代打・宮本が連打で無死一、二塁とすると、青木が怒りのセンター前ヒット。さらに19打席ヒットのなかった山田がライトオーバーの二塁打をかっ飛ばすと、阪神ベンチは慌ててジョンソンを投入したが、ワンテンポ遅い。 ヤクルトの勢いは止まらない。走者を背負った場面での登板にジョンソンの制球も定まらずに今度は雄平が、レフトフェンス直撃のパンチショットのようなタイムリー二塁打。4-5と1点差に詰め寄ったのである。さらに無死二塁からバントを失敗して追い込まれた大引がファウルで5球も粘ったあげく高いバウンドの投ゴロで走者を三塁へ進めると、期待の10代アーチスト、村上がライト深くに同点犠飛。スコアボードに、このイニング、一気に5点を刻みゲームを振り出しに戻したのだ。ジョンソンは来日初失点である。