＜QBBチーズデザート6P＞

チーズデザートの特徴

　六甲バターの「QBBチーズデザート6P」は、クリームチーズにバニラビーンズや季節のフルーツなどを混ぜ込み、デザート感覚で楽しめる商品だ。軟らかな食感と甘さが特徴だが、糖質は控えめで「罪悪感なく小腹を満たせる」と女性を中心に幅広い支持を集める。年間の販売個数が2000万個を超える商品となっている。（坂下結子） 【画像】チーズデザートに携わる菅原さん（左）と片山さん（神戸市西区で）＝八木良樹撮影

　「チーズケーキみたいなチーズをつくりたい」。2008年春、開発担当の片山和子（43）は商品化に向けて本格的に構想を練り始めた。 　六甲バターは1982年にデザート事業に参入し、レアチーズケーキやベイクドチーズケーキを手がけていた。片山の学生時代の好物で、入社を志望したきっかけとなった商品でもあった。だが、デザート事業は2007年、設備の老朽化などを理由に撤退が決まってしまった。

　最後のデザートの開発に当たった片山は、スティックやキャンディー形のプロセスチーズの担当に替わったが、あきらめ切れなかった。業務の合間、ひそかに新作デザートを開発しようと作業にいそしむようになった。その姿はやがて工場長や上司の目に入るようになったが、とがめられるどころか、既存の製造ラインで作れることを条件に正式に開発を認めてもらえたのだった。 　丸い箱に扇形の6個が入った「6Pチーズ」の形状の本格的なチーズケーキのような商品の開発が始まった。

試行錯誤の末、ヒット作誕生

　開発でこだわったのが材料と食感だ。ベースには滑らかで口どけのよいオーストラリア産クリームチーズを採用し、その濃厚な味わいを引き立てるため、バニラビーンズも加えた。さらに、コクを出すため植物性油脂ではなく乳脂肪を使用し、飽きずに何度でも食べたくなるような味を実現した。 　食感は、チーズケーキならではの口どけの良い軟らかさを目指しつつも、安定して量産するために、ある程度の固さを残すことも必要だった。材料の配合の変更を100回以上重ね、バランスを探った。 　発売にこぎ着けたのは約1年半後の09年9月。「うまくいかなければ、デザートはあきらめないといけない」。そんな片山の不安とは裏腹に、口コミで人気が広がり、初年度だけで計画の3倍を達成するヒット作となった。