いま熱いエジプトの柔道 パリ五輪を射程に ヘッドコーチの泉浩さん「不思議な縁」 千夜一夜
エジプトの首都カイロで4月下旬、アフリカ柔道選手権が行われ、エジプト代表は個人戦でメダル8個を獲得、団体戦でも金メダルを取って総合優勝した。筆者も初日に会場で観戦したが、多くの人が詰めかけており、柔道はエジプトでも人気があるのだと知った。 ヘッドコーチは2004年アテネ五輪の銀メダリスト、泉浩さん(41)。今年1月に就任したばかりで、「選手はさらに成長できる。私の指導が必要だと感じてもらえれば全力で支える」と話した。05年にカイロで開かれた世界選手権で優勝しており、就任要請の話が来たときには「不思議な縁を感じた」という。 泉さんは妻と子供2人を日本に残し、ホテルで一人で暮らす。不便なこともあるが、「1歳5カ月の娘に顔と声を覚えてほしいから、毎日テレビ電話で話をしている」とほほ笑んだ。 在留邦人の有志は試合の期間中、毎日おにぎりを大量に作ってチームに届けた。泉さんは「おいしかったです。とても助かった」と振り返った。 今夏のパリ五輪の切符の行方は、5月後半にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開かれる世界選手権でほぼ決まるという。泉さんは「これからが正念場」と気を引き締めている。エジプト代表の活躍に期待したい。(佐藤貴生)