カジグループ新工場稼働 産業観光で能登復興支援 来年4月一般公開
●食堂やセレクト店… 繊維メーカーのカジグループ(金沢市)は5日、かほく市大崎で建設を進めていた新工場「カジファクトリーパーク」の操業を開始した。繊維業界では珍しい工場見学を実施するほか、併設のレストランでは能登の食材を使い、セレクト店では輪島塗などの工芸品を扱う。来年4月から一般に公開し、「能登の玄関口」の立地を生かした産業観光で多くの人を呼び込み、復興支援につなげる。 新工場はのと里山海道白尾インターチェンジ近くの河北台商高跡地約3万3千平方メートルに約65億円を投じて整備した。2階建てで延べ床面積は約1万1200平方メートル。外観は石川県産材を使い、織物の縦糸をイメージした意匠を施した。 織物加工を手掛けるカジレーネの工場として最新の織機160台を導入し、生産能力を従来比で6割増強した。グループの開発、営業部門なども新工場に集約する。 工場見学は無料で、2階の通路から糸を加工する工程や織機が動く風景を見渡せるほか、ガラス張りの商品開発用スペースなども見て回ることができる。 セレクト店では「K―3B(ケースリービー)」、旅行用品を扱う「TO&FRO(トゥーアンドフロー)」といった自社ブランドの商品に加え、輪島塗や珠洲焼など能登の特産品を取り扱うこととしている。 レストランではメニューに能登食材をふんだんに取り入れ、生産者を紹介する企画も計画している。社員食堂や隣接するウッドデッキを活用し、ファッションショーなどの催しも定期的に開いていく予定。敷地内の公園には、滑り台や水が噴き出す遊具を設ける。駐車場は乗用車約100台、バス3台分を確保する。 新工場の稼働に伴い、雇用の創出にもつなげる。工場の人員は物販コーナーを含む産業観光部門を含めて約100人で、このうち新規で工場作業に50人、産業観光部門に15人の雇用を計画している。 梶政隆社長は新工場が人の集う場になることを期待し、「能登の復興に少しでも貢献したい。これまで敷居の高かった工場を開かれた場所にし、地域と共に発展していきたい」と語った。