上司に「飲み会」や「ゴルフ」に誘われます。断ると「社会人なんだから」と怒られるのですが、業務外でも参加すべきですか? せめて残業代はもらえないのでしょうか?
職場において「飲み会」を通じて親睦を深めることを指す「飲みニケーション」という言葉があります。「(お酒を)飲む」と「コミュニケーション」を合成させたこの言葉からイメージされるように、終業後の「飲み会」や休日の「ゴルフ」はコミュニケーションの活性化に役に立つ側面があるとされ、断れば怒る上司もいるので注意が必要です。 しかし業務でもないのに、終業後の貴重な時間を費やしたくない、上司や先輩といるなら残業と同じだと考えている人もいるでしょう。この記事では、終業後の「飲み会」や休日の「ゴルフ」に参加した場合、残業代を請求できる余地はあるのかについて解説します。 ▼毎日「8時50分」から朝礼が! 定時は9時だけど「残業代」は請求できる?「義務」か判断するポイントとは?
ポイントは労働時間と認められるか
終業後の「飲み会」や休日の「ゴルフ」に対し、残業代を請求できるかは、参加することが労働時間と認められるかが争点になります。そして、労働時間として認められるためには指揮命令下に置かれているのが条件です。 過去の判例では、労働時間と認められる条件としてこのような見解が示されていました。 労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間に該当する。 裁判所 裁判例結果詳細 「飲み会」や「ゴルフ」は事業所内で行われる行事ではありません。しかし、上司から参加するよう促され、断ると怒られるようなら「使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされた」の範疇に入る可能性が高く、残業代を請求する余地はあります。 ■ただし証拠が必要 残業代を請求するためには、証拠が必要です。 上司とのやり取りはメールやビジネスチャット上で行うなど、後から残る形で進めましょう。また「飲み会」や「ゴルフ」に関する情報や社内のカレンダーの記録などを写真やスクリーンショットで確保しておくのも効果的です。