フランス債上げ拡大、ルペン氏が数週間以内で予算成立可能と発言
(ブルームバーグ): 5日の欧州債市場では、フランス債が上げを拡大。フランスの極右政党、国民連合(RN)を実質的に率いるマリーヌ・ルペン氏が、向こう数週間で2025年の予算を成立させることが可能だとブルームバーグのインタビューで発言した。
フランス10年債とドイツ債との利回り差(スプレッド)は5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小し、2週間ぶりに80bpを下回った。ルペン氏の発言前まで、内閣不信任可決は既に見込まれていたため市場の反応が薄く、ポジション調整と手じまいが相場の動きを主導していた。ユーロも対ドルで上げ幅を広げている。
マクロン大統領は現地時間5日午後8時(日本時間6日午前4時)に国民に向け演説する予定。投資家は政治的な争いが長期化する可能性も視野に入れつつ、この演説を待ってフランス債について新たなポジションを建てる構えだ。
みずほインターナショナルのストラテジスト、エブリン・ゴメスリヒティ氏は、「市場は短期的に落ち着くかもしれないが、弱い経済成長と政治不安が債務圧縮を阻み投資を遠ざけるという悪循環にフランスは直面している」と指摘。フランス債のスプレッドで次に重要な水準は100bpだとの見方を示した。
フランス政府は同日、期間15年から50年の国債を総額46億ユーロ(約7300億円)発行した。発行額は目標上限の50億ユーロをやや下回ったものの、需要は堅調で、最近の政治騒動が投資家の意欲をそいではいないことをうかがわせた。
アナリストは4日のフランス債が上昇した理由として、薄商いとショートカバーを挙げていた。
ナティクシスの金利ストラテジスト、ブノワ・ジェラール氏は「不信任案の可決でフランスの危機は終わりではない。いっそう深刻な危機への道が大きく開かれた」と述べ、「議会内でどのような連合が組まれても、政府を支え、不信任に抵抗し、公的財政を持続的な再建路線に乗せることはできない」と論じた。