米国債市場、米大統領選からのリスク本格化か-TV討論会始まる
米財務省は財政赤字を賄うためにより多くの長期の国債を発行し、供給増は利回りに上昇圧力をかけるだろう。
しかし、それ以上に一部の投資家にとって心配なのは、現在の長期債利回りが財政リスクや関連リスクの高まりを適切に反映していないことだ。
10年物国債のいわゆるタームプレミアムのFRBモデルは現在マイナス0.27%程度と、財政懸念が深刻だった昨年10月のピーク0.46%を大きく下回っている。
選挙によって財政赤字と債務が再び注目されるにつれ、タームプレミアムがプラスに転じ拡大するリスクがある。また、ホワイトハウスと議会療法の主導権をどちらかの政党が握ることになれば、赤字を拡大させる法案が可決される可能性が高まるためリスクは拡大すると市場関係者は指摘する。
コロンビア・スレッドニードル・インベストメントの金利ストラテジスト、エド・アルフセイニ氏は、「民主党か共和党かはあまり関係ないが、どちらかの政党が政権を握るということは、赤字が悪化するということであり、その場合はロングエンドを安心してショートできるだろう」と語った。「ターム・プレミアムという点では、あと50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上上昇するだろう」と付け加えた
選挙が近づいても経済データとFRBの政策が多くの投資家にとって第一の焦点であることに変わりはないが、FRBの独立性を巡る懸念もある。
トランプ氏の非公式なアドバイザーが、同氏がFRBに対してより大きな権力を持つような変更案を出しているとの報道がある。現実的ではないにしても、一部の投資家にとっては中央銀行の独立性が失われると考えるだけでも、リスクプレミアムは高くなるはずだ。
アクサ・インベストメント・マネジャーズの債券部門グローバル責任者、マリオン・ルモレデック氏は、「過去数年間、多くの考えられないようなことが起こった後、投資家は『絶対ない』とは決して言い切れないことを学んだ」と語った。