中国、就職難で公務員人気が過熱 「現代の科挙」に出願303万人
【北京共同】若者の就職難が深刻な中国で公務員人気が過熱している。2024年採用の国家公務員試験は、約3万9600人の採用枠に過去最多の303万人が出願し、この3年でほぼ倍増。平均倍率77倍の狭き門で、清朝時代まで続いた高級官僚登用試験制度になぞらえ「現代の科挙」と呼ばれる。 「国家公務員は社会的地位が高くて良い職業だが、競争はとてつもなく激しい」。かつて商務省の試験に挑戦した北京市の出版社勤務の男性(30)は話す。言語や速算、資料分析などの能力試験に加え、一般常識では中国医学や昆虫の知識まで問われたという。 中国ではもともと公務員や国有企業社員は「鉄飯碗(食いはぐれのない職業)」として人気がある。新型コロナ流行に加え、当局がIT大手や教育産業への規制を強化したことで公務員試験に希望者が殺到。不動産不況による経済の先行き不透明感から若者の安定志向が強まった。 北京市政府系機関で働く公務員(49)によると、年収は20万元(約410万円)程度。民間大手に比べると少ないが、福利厚生は手厚い。