「天井からゴキブリが雨のように降ってきた!」ごみ屋敷清掃芸人・柴田賢佑が語る、ごみ屋敷のとんでもない世界
――色んな現場があると思うのですが、大変だった現場について聞かせてください。 柴田 これは僕の仲間が行った現場なんですけど、とんでもない「ゴキブリ屋敷」がありました。近隣の住人から「隣の部屋からゴキブリが沸いている」という苦情があり、片付けることになったんです。部屋でバルサンをたけば終わりと思うかもしれませんが、近隣の方が「バルサンをたくとゴキブリがこっちに逃げてくるから使わないでくれ」と。 部屋に入ると、そこら中に大量のゴキブリがいるんです。ポテトチップスの入っている缶のふたを開けると、そこから何十匹もブワーっと出てくると。その現場で僕の仲間のポジションは、両手に殺虫スプレーを持って玄関に待機して、逃げてくるゴキブリを外に逃がさないようにすることだったんです。 奥の部屋で作業が始まると、やはり大量のゴキブリが逃げるために玄関に押し寄せてくる。そのゴキブリめがけてスプレーを噴射すると、何百匹ものゴキブリが一気に壁を登って逃げるんですよ。殺虫スプレーって、吹きかけてもゴキブリはすぐには死なないじゃないですか。1分くらい噴射していたら、壁を登って逃げたゴキブリがそこで力尽きて、天井から雨みたいにボトボト降ってきたそうです。 ――気持ち悪りぃ! 柴田 僕も行きたかったなーって(笑)。そんな経験、ないじゃないですか。 ――そういうのを面白いって思っちゃうんですね。 柴田 はい。そんな僕でもどうしてもダメな現場があって。ごみ屋敷とは違うんですが「腐乱現場」といって、家で亡くなった方の部屋を片付ける仕事なんですが、これは精神的にまいっちゃうんですよね。まず消毒業者が入った後に僕らが入るんですけど、それでもまだ臭いがすごいんです。肉体が細胞レベルで拒否しちゃうような臭いで。 そんな部屋を片付けていると、その人の想いとかが自分の中に入って来ちゃうんですよ。たとえば、テーブルに酒とつまみが置きっぱなしだったりすると「これから一杯やろうとしてたのかな」とか考えてしまったり。 あと、アイドルと一緒に撮ったチェキがあったりして、そのアイドルに「あなたのファンが亡くなりました」って、伝えてあげたほうがいいかなとか思っちゃったり。 ――感情移入しちゃうんですね。ごみ屋敷には住人のキャラクターが出ると思うんですが、ごみ屋敷になりやすい人っているんですか? 柴田 僕の独断と偏見ですけど、リュックの肩ヒモがねじれたまま背負ってる人は怪しいですね。あと、スニーカーのヒモがほどけているのに普通に歩いてる人とか。 女性だと、アイプチのシールが取れてまつげの上に乗ってるとか。実際にそのコの家に行ったら、めっちゃ汚くて(笑)。アイプチシールとかカラコンとかつけまつげが床にたくさん落ちていて、「やっぱり!」と思いましたね。 ――年齢や男女比は? 柴田 これはもうバラバラですね。 ――今、ごみ屋敷っていうのは、世の中にどれぐらいあるんですか? 柴田 あくまで僕の体感ですけど、20軒に1軒ぐらいはあると思います。パッと見ただけでは気づかないけど、実はごみ屋敷ってたくさんあると思うんですよ。