安価な革新的EV、ルノーが2028年導入へ バッテリーコスト50%削減、充電時間は15分に
二酸化炭素排出量の削減
ルノーの電動化戦略の中心にあるのは、自動車とグローバル事業活動の両方における二酸化炭素排出量を大きく削減するという目標だ。 その意欲は、エンブレム・コンセプトに象徴されている。同車は、製品ライフサイクル全体(使用15年または走行20万km)で排出される二酸化炭素量がわずか5トンと予測されている。これに対し、現行世代のガソリンエンジン車「キャプチャー」の排出量は約50トンである。 バッテリー素材の調達や、車両全体で使用される膨大な数の部品の影響を考慮すると、キャプチャーをEVにしても「この問題の半分しか解決できない」と、サステナビリティ担当のクレア・マルティネ氏は主張する。 マルティネ氏は、自動車生産においてネット・ゼロを実現できるかどうかは、低炭素エネルギーの調達、バッテリー工場の効率の最適化、そしてできる限り影響の少ないバッテリー素材の調達にかかっていると述べた。これらはすべて、ルノーが新世代EVの展開に掲げている目標である。 バッテリーのケースにリサイクル・アルミニウムを使用することや、電気炉で鉄鉱石と水素を混ぜて「最も耐久性が高く、要求の厳しい部品の1つ」であるスチール製ボディパネルを生産することも、目標達成に向けた重要なステップとなる。 AUTOCARの取材に応じたマルティネ氏は、広範なサプライチェーンの二酸化炭素排出量の削減にどのように取り組むのかという質問に対し、「それは当社のロジスティクス部門における脱炭素化戦略の一部です。2030年までに20%削減するという目標を掲げています」と答えた。 フランス北部にあるルノーのEV生産拠点エレクトリシティについても言及し、「ここで本当に重要なのは、ティア1サプライヤーの75%が300km圏内に位置していることです」とした。 マルティネ氏は「EVメーカーにとって、欧州にこのように強力な地域拠点があることは有益です」と述べ、EUの炭素国境調整メカニズム(EU域外からの輸入品に課税する制度。略称:CBAM)が本格適用された際には、さらに有益性が増すだろうと付け加えた。
フェリックス・ペイジ(執筆) 林汰久也(翻訳)