安価な革新的EV、ルノーが2028年導入へ バッテリーコスト50%削減、充電時間は15分に
新しいバッテリー技術
ルノーの新世代EVにとって特に重要な技術開発は、エネルギー密度がはるかに高いバッテリーパックの導入である。同社は「ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)のエネルギー密度、リン酸鉄リチウム(LFP)のコストと安全性、15分未満の充電」を組み合わせたものになると説明する。 バッテリーのコストの60~75%が化学組成(ケミストリー)によるものだと、ルノーは言う。これがエンジン車との価格差の主な要因であり、新しいタイプのバッテリーへの投資を促す主な動機となっている。 ルノーは2026年以降、主力のEVバッテリーをNMCからLFPに切り替える予定であり、これにより航続距離に影響を与えることなくコストを20%削減できるとしている。 アンペアはルノーのEVプラットフォーム開発陣と協力し、LFPに内在する効率低下を補う新しいセル・トゥ・パック構造を設計した。これにより、コスト削減がエネルギー出力の低下を招くことはなくなった。 同社は、コバルトフリーの正極材とシリコン負極材を組み合わせた新しい化学組成を導入することで、2028年までにコストを50%(現在比)削減する予定である。LFPの安全性を維持しながら、NMCと同等のエネルギー密度を実現するという。さらに、充電時間を大幅に短縮(15分)できるという利点もある。 そして今後10年以内に、シリコン負極材をリチウムに置き換えることで、NMCバッテリーのエネルギー密度を2倍に高めることを目指す。これは、ルノーが量産車に搭載予定の全固体電池で「基本構成」と呼ばれる組成である。 アライアンスパートナーの日産は2028年から全固体電池搭載EVを販売する計画だが、ルノーも同じスケジュールで対応できるのだろうか? アンペアのバッテリー化学開発責任者であるモハメド・タゴギ氏は問い合わせに対し、日産と「協議中」であるとだけ答えた。 ルノーのエンジニアは、バッテリーコストの25~40%が組み立て(ケーシングとシャシーへの取り付け)に関連し、2028年までに同コストを半減させることもアンペアの計画の鍵であると述べた。 ここでもまた、エネルギー容量を最大化するセル・トゥ・パック構造が重要となる。また、今後発売されるEVにセル・トゥ・シャシー構造を採用し、さらに効率を高める作業が進行中だ。