海外のネット配信書籍に課税へ アマゾンなど海外企業への影響は?
先日、早ければ来年から、財務省は日本国内に海外からネット配信される書籍・音楽・ゲームなどのコンテンツに消費税を課すという報道がありました。どうして今、こういう措置を採るのか、そしてそれは海外企業の活動にどう影響するのでしょうか。
課税されることになった背景は
消費税は消費する場所に従って課税することが原則です。ですから、海外からの輸入品については、日本に輸出する前の段階では課税されず、国内に輸入され、輸入業者が消費者に向かって流通する段階で消費税が課されることになります。ところが、個人輸入の場合、この消費税処理をする輸入業者が存在しないため、事実上、課税されなくなっていました。 ネット上の配信サービスは国境を跨いで行われることが多いのですが、輸入業者がいないため、個人輸入と同じ状況が生じます。ここで国内輸入業者がいないから課税できないとすると、大きな課税の穴が生じます。 また、日本国内でも出版社を中心に電子書籍配信サービスを行う機運が高まっていますが、関連業界からは、もし事業者の所在地によって課税に不均衡が生じた場合、国内の事業者が販売する電子書籍にのみ消費税が課税されることになり不公平である、という声も上がっていました。確かに、これは事業環境の整備上、適切ではありません。 そこで、すでにネット上の配信サービス事業者にもEU域内に納税代理事業者を置かせて納税させることにしていたEUの制度を参考に、1000万円以上の売上を有する事業者を対象に、日本国内の税理士を代理人として納税させる制度を導入することにしたものです。これは、次期通常国会での消費税法改正の中で制度化する見込です。
課税対象になるもの、ならないものは
課税対象となるのは、わかりやすいものとしていうと、Kindleストアで売っている電子書籍になります。iTunes Storeで売ってる音楽やGoogle Playが扱ってるアプリはどうなんだという声が起きそうですが、両社ともすでに売上を国内法人のものとして計算し、消費税を納めているので、新たな課税対象にはなりません。なお、これは消費税ですから、購入するものが国産のコンテンツか外国のコンテンツかは関係ありません。