同性婚訴訟の二審判決を前に、東京高裁に入る原告ら＝2024年10月30日、東京都千代田区（時事）

性的マイノリティー（LGBTQ）のカップルらを公的に認める「パートナーシップ制度」を東京都渋谷区と世田谷区が2015年11月に開始して9年。これまでに全国で450以上の自治体が制度を導入した。

パートナーシップ制度導入自治体数と登録件数の推移

渋谷区と特定非営利活動法人虹色ダイバーシティが実施している共同調査によると、2024年6月時点で、導入自治体は459。22年6月には219自治体だったが、この2年間で2倍以上に増えた。人口カバー率は85.1％。「パートナー証明」の交付件数（パートナー登録件数）は、5月31日時点で7351組。 パートナーシップ制度は、生計をともにする同性カップルの住民の申請に応じて、カップルを「結婚に相当する関係」と認めて証明書を発行する制度。証明を得ることで、例えば公営住宅の入居申し込みなど、家族と同様の行政サービスを受けられることになった。

地域別のパートナーシップ制度導入状況

日本では同性カップルの婚姻（同性婚）は認められておらず、パートナーシップ制度はそれによる当事者の不利益の一部を「補償」しようという自治体の動きといえる。制度導入の動きは22年、1400万人の人口を抱える東京都が実施に踏み切ったことで、全国に広がった。 同性婚が認められないことをめぐっては、「婚姻の自由」や「法の下の平等」を保障した憲法に違反するとして、19年に同性カップルらが全国5地裁に6件の訴訟を提起。一審判決では「違憲」、「合憲」、「違憲状態」と判断が分かれたものの、ことし3月の札幌高裁判決、10月の東京高裁判決はいずれも同性婚認めない法制度は「違憲」と判断した。