早実の“怪物”清宮は成長したのか。プロでの成功確率はアップしたのか?
早実の“怪物”清宮幸太郎(2年)の充実の秋が終わった。 明治神宮大会は、15日お決勝で履正社に6-11で敗れたものの「3番・一塁」で出場した清宮の存在感は際立っていた。二死走者無しで迎えた初回には、カウント1-1から低めにコントロールされた134キロのストレートを右中間スタンドまで運ぶ通算76号。本人も「打った瞬間に入ったと思った。完璧」と自画自賛する一撃だった。三回無死一、三塁のチャンスでは、初球を狙い打ち、ライト前へ糸を引くようなタイムリー。残り3打席は、四球、死球、ポップフライという内容で惜しくも“日本一”は手にできなかったが、清宮は、大会3試合で7打数5安打2打点、1本塁打、打率.714、7つの四死球を選び、出塁率は.857と驚異的な数字を残した。 では1年から注目を集めている清宮は成長したのか。プロで成功する確率はアップしたのか? 元近鉄監督で中日では打撃コーチを務め、現在は社会人の大和高田クラブ監督の佐々木恭介さんは、「テレビで見ただけだけど」と断った上で「非常にバットの出方が柔らかいから長打者にしても力任せでなく対応力がある。体も高校2年生とは思えない強さがあるよね。一塁しか守れないことは、何もプロ入りのネックではない。うまく育てればチームとして向こう10年、一塁とクリーンナップに困らないわけだから、間違いなく福留級の逸材だと思う」と、中日打撃コーチ時代に育てた阪神の福留孝介に重ねて高い評価を与えた。 元ヤクルトの名スカウト、片岡宏雄さんも、成長点を指摘した。 「選球眼がよくなっている。体も絞ったのか、一塁手としての動きもいい。タイミングがしっかりと合ったときの打球は、間違いなく一線級。とくに低めのボールに対するバットの出方がよくなっている。これまでのアッパー気味なスイングではなく、どちらかと言えば、叩くイメージでバットが出ている。いい方向に成長しているなと感じた」 だが、その一方で、課題も浮き彫りになっている。 秋季東京都大会では決勝で日大三を8-6のサヨナラで下してチームは優勝。来春のセンバツ甲子園出場を確実なものにしたが、日大三の背番号「8」の左腕、櫻井周斗に対して5打席連続三振を喫した。外、低めのボールになる変化球を振らされ、バットが止まらなかった。 その試合も見たという佐々木さんは、「左投手、しかもホームベースを広く緩急を使われると、対応できていなかったね。私は、投手はできるだけ早くプロに入るべきだが、野手は大学、社会人を経た方が大成するという考え方を持っている。おそらく高校では日大三高の左腕のようなコントロールとキレのいいピッチャーと対戦する機会は、そうないのだろう。そう考えると、もう一段階高いレベルのピッチャーとの対戦で経験を積める大学に進学した方がいいのかもしれないね」という意見。 確かに15日の神宮大会の決勝戦でも、履正社のエース、竹田祐が出てくると140キロ台のストレートに押されてキャッチャーへのポップフライに終わるなど、ピッチャーのレベルが上がると、もろさがあらわに。