都内在住30代夫婦。夫が「年収1200万円」なので、これまで“児童手当”をもらったことがありません。10月から制度が変わると聞きましたが、わが家にも影響はあるのでしょうか?
2024年10月から、児童手当の制度が変わります。この改正によって、より多くの世帯が児童手当を受給できるようになります。昨今の物価上昇などで教育費を含めた家計のやりくりに苦労している家庭には朗報です。 この改正によって具体的に影響のある世帯はどのような人たちなのでしょうか。本記事では、世帯年収1200万円の家庭を例に、改正後の児童手当の内容と改正による影響について解説します。 ▼「3人目3万円」に思わぬ落とし穴! 2024年12月に前倒しになった「児童手当拡充」の注意点
現行制度では扶養家族の人数と年収で制限がかかっていた
2024年9月までの児童手当の制度は、扶養家族の人数と世帯の所得によって支給金額が制限されていました。具体的な数字は図表1の通りです。「所得制限限度額」以上で「所得上限限度額」未満の場合は児童1人当たり月額一律5000円の支給、「所得上限限度額」以上の場合は児童手当の支給はありませんでした。 今回のケースは、夫が年収1200万円、妻が専業主婦、子どもが1人の世帯です。この場合は、所得上限限度額の「所得934万円以上、年収目安で1162万円以上」に該当するため、児童手当は支給されていませんでした(図表1の「収入額の目安」は、給与収入のみで計算。実際は給与所得控除や医療費控除、雑損控除等を控除した後の所得額で所得制限を確認)。 図表1
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
10月からの改正では所得制限がなくなり、2歳の子を対象とした手当1万5000円の手当がもらえるようになる
10月からの改正ではこれらの所得制限が撤廃され、収入にかかわらず一律で、子どもの年齢と人数によって児童手当を受給することができるようになります。 図表2のように、今回の改正で、支給対象の児童の人数と年齢に対する支給額も変わりました。今回のケースの世帯で考えると、支給なしであった児童手当が3歳までは年間18万円、3歳以降は年間12万円支給されることになります。当然、児童手当は非課税であるため支給金額の額面がそのまま手取りとなります。 また、今回の改正で、支給の対象となる子どもの年齢が中学卒業から高校卒業の年代まで拡充されたので、より長い期間支給されることになります。そのため2歳の子どもが高校卒業まで児童手当を受ける場合、今回の改正により合計で約180万円程度手当が支給されることになります。これは、家計にとってかなり大きな影響があるといえるでしょう。 図表2