アビスパ福岡が社会問題の解決を目指す“TAKE ACTION WEEK”を開催。延べ1,200人が参加
J1アビスパ福岡は11月3日の柏レイソル戦(ベスト電器スタジアム)にて、社会問題の解決を目指す取り組みの『シャレン!(社会連携)』の取り組みの一環として、“TAKE ACTION Week!”を開催した。一人ひとりが社会課題の当事者としてできることを考え、アクションを起こすきっかけを作る体験型イベントであり、今回は3つのイベント7個の体験ブースが設けられた。 ◆海ゴミの8割は陸からのゴミ“サポーターの花道”博多空港駅からのゴミ拾い活動 この日、一番最初に始まった取り組みは、アビスパ福岡サポーターにとって花道とも言える、福岡空港から本拠地ベスト電器スタジアムへの道のゴミ拾い活動だ。この日は延べ184人が参加し、ゴミを収集。参加者からは「普段スタジアムに向かう道にこんなにもゴミが落ちているとは」と驚きの声も聞こえた。 ホームスタジアムへの道や近辺の清掃活動は多くのクラブやスポーツチームで行われている活動だが、アビスパ福岡には他の意図があった。担当者は「TAKE ACTION Week! を行う上で関係各所に話を聞いた際に、海ゴミの問題について話題が多く上がりました。そこからさらに深掘りをしたところ、海ゴミの原因は海への投棄だけではなく陸上のゴミであることが分かりました。福岡という土地は海に接していて様々な海産物が有名な土地でもあるのでその環境の保全にどのクラブよりも敏感でありたいし、県民やサポーターのみなさんと考える場と作りたいと思った」と熱い思いを口にした。 さらにこの日は空港からのゴミ拾いに参加できなかったサポーター向けにもスタジアムでマイクロプラスチックなど海洋プラスチックごみ回収の擬似体験『プラ干狩り』が出来る“ステハジブース”を設置。参加者の子ども達からは「こんなにたくさんあるの!?」と驚きの声が上がるとともに愛するクラブの本拠地で貴重な学びの場となったようだ。 ◆愛する道具を新たな形に変える 「アップサイクルワークショップ」ブース presented byネクスウェイブ株式会社 次に取材班が注目したのはアップサイクルワークショップブースpresented byネクスウェイブ株式会社だ。ここではサポーターをはじめとした多くのサッカー関係者が使わなくなったボールなどを再利用したストラップづくりが体験できる。サポーターなら誰しもがなじみのあるサッカーボールがパーツとなり、さらには自らが身につけやすいキーホルダーサイズになるとあって参加者が後を立たず大盛況だった。 担当者は、「サッカーは他の道具を使うスポーツに比べたら、必要な用具の少ない競技です。それでもいつかは道具の寿命が来るのでそこからみなさんの社会問題の気づきになるきっかけになればうれしいです」と取り組みについて話してくれた。 当日のブースでは、ハサミなどを使わない工夫がされており大人だけでなく子どもも参加できることから、地元のサッカー少年やサポーターが多く集ったことで身近な競技から社会問題への関心を育んでいた。 ◆スポーツ体験を通し新たな気づきも インクルーシブスポーツ体験会 その他のイベントやブースと一線を画していたのはスタジアム地下体育館で行われていたインクルーシブスポーツ体験会だ。この日の体験会にはデフサッカー日本代表の松元卓巳選手など現役のパラアスリートがゲストとして参加をしており、事前予約で満員となる盛況ぶりだった。 他のブースでは、環境問題や気候変動などに対してアプローチをしていた“TAKE ACTION Week!”で唯一のスポーツ競技の場となった本体験会では、デフサッカーと車椅子ソフトボールの体験が行える場として準備がされていた。これまで直近の五輪などでパラスポーツを見る機会があった競技でも、参加者のほとんどが初体験の競技。一見社会問題とは無関係でも、整備された競技フィールドの中での不自由さを知ることで街中でのバリアフリーの重要性について学ぶ多きな機会となったようで、参加者からは「経験したことのあるスポーツとは違う難しさ。奥が深いし、その分普段の生活で同じ環境と考えると段差や音など気にする点が増えると思う」と新しい気づきも生まれていた。 多種多様な項目で社会問題にアプローチをしていたアビスパ福岡の“TAKE ACTION Week! ”。なぜ、1日に行われたイベントにも限らず“WEEK”なのだろうか。ここにはアビスパ福岡担当者の想いがあった。「その日限り意識してもらうのでは解決しない。WEEKとすることで、参加者が初めて起こしたACTIONを、この日に受け取ったものを見た時に思い出し、次の日からの“日常の意識と行動”を変えてほしいという願いを込めました」。この日参加したのは1,200人ほど。それでも、一人ひとりが継続することで、その輪は大きくなり、やがて福岡県そして日本へと広がる日は遠くないだろう。
アスリートマガジン編集部