ヤンニョム富士宮やきそば誕生 川崎市とタッグ、新しい楽しみ方提供
富士宮市と川崎市の産業連携が加速している。2017年に協定を結び、23年末から両市の行政や企業の交流が本格化。富士宮市の製麺所「叶屋」と川崎市のキムチ専門店「おつけもの慶」が手を組み富士宮やきそばの派生「ヤンニョムやきそば」が生まれ、1日までJR川崎駅で行われたイベントでテスト販売するなどし、商機をうかがっている。7日には両市の企業が手がけたキャンプ道具の販売会が富士宮市内で開かれる。両市の特性を掛け合わせた新事業の開発が進む。 富士宮市は、「川崎モデル」と呼ばれる大企業の知的財産と中小企業の技術を組み合わせるノウハウを学ぼうと、企業交流会などを開催してきた。その中で、富士宮やきそばの知名度を借りて商品展開したい川崎市側と、富士宮やきそばの新たな楽しみ方を探っている富士宮市側の意見が合致した。 ヤンニョムやきそばは塩だれベースの味付けに辛みが加わったパンチの強い仕上がり。両市の事業者は頻繁に味見ができない代わりに、ウェブ会議を重ねた。海鮮に合うキムチのもとであるヤンニョムを生かすため、魚介だしの塩だれを採用。富士宮やきそばの関係者で調理法を確立した。川崎駅のイベントでは、20~30食の用意分が1週間毎日完売。出店者によると、おつけもの慶に対する味の信頼感と富士宮やきそばの知名度で商品に手を伸ばす駅利用者が多かったという。 富士宮市は7日、交流会を機に生まれたキャンプグッズなどの展示販売会「フジヤマクラフターズ meet川崎市」を休暇施設「ふもとっぱら」で開催する。ヤンニョムやきそばも出店して来場者の反応を確かめる。叶屋の後藤壮史さん(32)は「新メニューとして受け入れられれば、県東部以外にも販路を広げるきっかけになるかもしれない」と好意的に受け止める。市商工振興課の二又川直之課長は「両市の資源や技術が良い化学反応を生み、さまざまな産業が活発になれば」と期待を寄せる。
静岡新聞社