別れを経験したアイドルが一年の終わりに感じること、世界最高峰の舞台で日本人スケーターが見せたもの…清司麗菜の#skatelife
もう10年もアイドルをしているけれど、新しい自分を見つけられた気がして、居心地がよくて、ありがたかった。いつだって全力疾走できれば、それに越したことはないのかもしれない。だけれど、私には私の歩幅が必要なんだなってことを実感させられた。たしかに仕事もなくて、将来への不安もあって、なんだかモヤモヤがずっと心の中にあったけれど、今から振り返れば、私にとっては必要な時間だったのだと思う。
だから今、私はどんな人に声をかけられても全力の私で向き合う。それが最高の恩返しだって思えるから。
感動した織田夢海の活躍
12月15日、SLSの年間王者決定戦の「スーパークラウン」がブラジル・サンパウロであった。この大会、女子はライッサ・レアウ選手(ブラジル)が3連覇する歴史的な大会になった。2位はパリ五輪の金メダリスト・吉沢恋選手だった。でも、私がすごく感動したのは3位に入った織田夢海選手の活躍だ。
彼女は2023年のストリート世界選手権の女王。去年は本当に絶好調で、メダルの最有力候補だったのだけれど、パリ五輪予選シリーズの終盤に失速して代表を逃した。東京五輪も同じように代表の有力候補だったから、2大会連続で逃したことになる。
そんな彼女がスーパークラウンで魅せてくれた。ベストトリック4本目で、キラートリックの「キックフリップ・フロントサイドフィーブルグラインド」を決めて、10点満点中「9・4」をマークした。彼女が持っている大会史上最高得点に並ぶ会心のトリック。決めた直後にライッサと抱き合って喜ぶ姿は、仲間との絆を大切にするスケーターカルチャーそのものだった。
直接、織田選手と話したわけではないから、今年、彼女がどんな思いで1年を過ごしてきたのかは分からない。だけれど、普通の人では考えられないほどの悔しさと重圧の中で戦ってきたのだと思う。そんな中、彼女が今年最後の大き舞台で見せたとびきりの笑顔に、なんだか私まで救われるような気持になった。彼女にとって、後から考えればよい年――になっていればいいな、なんて考えている。