中国企業ロゴ混入で「中国のスパイ」扱いされた自然エネルギー財団の大林ミカ事務局長に聞いた
過去に日本記者クラブの喫茶室で行われた共同通信のインタビューでは、偶然にも大林氏の背後に中国の朱鎔基元首相の写真が映り込んでいたことから、こちらもネット上で「大林の執務室に中国首相の写真がある」というウソが拡散した。 「実は、ロゴ問題がネット上で持ち上がったとき、私はドイツに出張中で、Xでの炎上も、ドイツ時間土曜朝に内閣府から連絡がきて知りました。土日をはさんで、25日月曜の21時ごろに帰国するまで国内では対応できませんでした。その間にデマや中傷がネット上で広がってしまったのです」と大林氏は言う。
自然エネルギー財団と中国の関係で、疑われているポイントは2つ。 まず、2016年から2019年ごろにかけて、国際的非営利組織GEIDCO(Global Energy Interconnection Development and Cooperation Organization)で、自然エネルギー財団と中国国家電網が交流していたことがあげられる。GEIDCOの会長に中国国家電網会長の劉振亜氏、副会長に元アメリカエネルギー庁長官のスティーブン・チュー氏とともに自然エネルギー財団設立者・会長の孫正義氏が就任した。GEIDCOとは、どんな組織なのか。
「GEIDCOは、自然エネルギー活用のための世界的な送電ネットワークの実現を目指す非営利団体です。送電網建設の世界的企業であるシーメンス、ABB、日立、GEや、世界的な金融機関グループのモルガン・スタンレー、総合コンサルティング会社アクセンチュアなども参加しており、当財団も加わりました。中国国家電網とのかかわりは、もっぱらGEIDCOを通してのものです。人的にも資金的にも当財団とは関係ありません。たとえば、今回、3人の公認会計士に財団設立以来の収入について、すべての銀行預金通帳等の関連資料を調べてもらい、中国政府・企業からのものは含まれていないことが確認されました。ロゴ混入問題が起きた後、当財団はGEIDCOを脱退しました」(大林氏)