中国企業ロゴ混入で「中国のスパイ」扱いされた自然エネルギー財団の大林ミカ事務局長に聞いた
当事者である大林氏に、ロゴ混入の経緯と自然エネルギー財団が外されている背景を聞いてみた。 「そのロゴは、2016年5月に韓国で国際送電ネットワークをテーマに開催したワークショップの資料の中にありました。当時、私たちの財団以外にも、日本創成会議(増田寛也座長)や韓国電力公社、中国国家電網などさまざまな機関が国際送電網の提案をしていました。2016年の12月、諸提案を比較検討する資料を作成するため、中国国家電網の構想地図のスライドのバーを削除して日本語に翻訳する作業をおこないましたが、白地に白いロゴがなじんで見えず、削除されないまま残ってしまった。空白と表示されるスライドにロゴが入っていることに気づかず、『白地スライド』から他の資料作成を行ったため、他にも含まれてしまったのです。それが、私のプレゼンの最後の空白スライドを利用したページにロゴが入っている理由です。まったくの事務的ミスでした。タスクフォースで公表した資料の一部は私が作成したものですが、もちろんそれにはまったく国家電網の資料を使っていませんし、出典も明記しています。詳しい経緯については3月26日に『再エネタスクフォース会議資料等でのロゴ表示問題について』をリリースし、27日の記者会見でもご説明しました。総理や大臣、国会議員を含む多くの方々を混乱させましたので、私はTFの構成員を辞めました。その後、内閣府など国の省庁には4月5日付で『自然エネルギー財団へのご質問に対する報告書』を送り、その概要を8日に公表するとともに、4月16日には2回目の記者説明会を開催し、私たちが中国政府や中国の企業と人的、資金的に一切関係がないことを重ねて報告しました」
大林氏は実際にパソコンで操作をしてみせながらロゴ混入の経緯を筆者に説明した。筆者はそれで混入の原因が理解できたし、3月27日の記者会見でもマスコミの記者たちは納得していたという。事実、それ以降この問題は大手メディアではほとんど扱われなくなっている。 しかし内閣府は「調査中」を理由に、経産省や環境省は「懸念の解消」と条件づけて、自然エネルギー財団や大林氏へのエネルギー問題に関するヒアリングを止めている。