日産「セドリック/グロリア」7代目にEV仕様を設定、鉛バッテリーで最高速度100km/h、フル充電航続距離120kmを達成【今日は何の日?10月20日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、日産自動車を代表する高級車の7代目「セドリック/グロリア」の電気自動車を、官公庁、大手法人向けに販売することを発表した日だ。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型セドリック/グロリアのすべて ■日産自動車がセドリック/グロリアEVを開発 日産・セドリックEVの詳しい記事を見る 1992(平成4)年10月20日、日産自動車は「7代目セドリック/8代目グロリア(Y31型)」をベースに鉛バッテリーを使った電気自動車を発表した。翌春には、市場での性能評価や耐久信頼性の確認のため、環境庁に約1年間の期間限定で貸与した。 クラウンに対抗して誕生した高級車セドリック 初代セドリックは、1955年に誕生したトヨタ「トヨペットクラウン」の対抗馬として1960年にデビューした。日産が初めて独自に開発した6人乗りの高級セダンで、縦目4灯のフロントマスクとAピラーを前傾させたパノラミックウインドウなどアメ車風のスタイリングが特徴だった。 モノコックボディで車重を1195kgに抑えながら剛性を高め、足回りはフロントがダブルウイッシュボーン/コイル、リアは3枚リーフ/リジッドサスペンションを装備し、高級車らしい乗り心地を実現。パワートレインは、71psを発揮する1.5L直4 OHVエンジンと4速MTの組み合わせ。車両価格は101.5万円と初代クラウンと同額に設定され、日産のフラッグシップとしてスタートした。 その後、セドリックはクラウンとともに日本の高級車市場を2分する人気モデルとなり、1971年に登場した3代目セドリックと旧プリンス自動車が開発したグロリアの4代目が兄弟車となった。 鉛バッテリーのセドリックEVは、航続距離120kmを達成 1987年に登場した7代目(Y31型)セドリック/8代目グロリア(Y31型)は、シリーズ初の4輪独立懸架やDOHCエンジンなどで従来に優る走行性能が評価され、追加されたV6ターボエンジンには抵抗の少ないセラミックターボを搭載して注目を集めた。 日産は、環境問題の高まりを受けて、このセドリック/グロリアの4ドアセダンをベースに改造したEVの開発に取り掛り、まず1991年の東京モーターショーで披露された。バッテリーは、12Vで容量20kWhの密閉型鉛バッテリーと定格出力30kW/電圧336Vの交流誘導型モーターを搭載し、フル充電5時間で航続距離120km/h(40km/h一定走行時)、最高速度100km/hを発揮した。 翌1993年3月1日、セドリックEVのポテンシャルを調査するため、環境庁に約1年の期間貸与した。その後、他の官公庁や法人への展開は実施しなかった。 世界初のリチウムイオン電池を搭載したプレーリージョイEVを開発 鉛バッテリーではバッテリー容量に限界があることから、日産は1992年、ソニーと共同で自動車用リチウムイオンバッテリーの研究開発を開始。1996年ついに実用化レベルに成功し、世界初となる円筒型のリチウムイオンバッテリーを搭載した電気自動車「プレーリージョイEV」を翌1997年にリース販売を開始した。搭載されたリチウムイオンバッテリーは、容量8.64kWh、電圧は345Vである。 レーリージョイは、1982年にデビューしたマルチパーパスのミニバン、EVになったのは1988年にデビューした2代目プレーリーで1995年に車名を変更したプレーリージョイである。 主に各種関連企業・団体などの法人向けに30台を32万円/月のリース販売したプレーリージョイEVは、最高速度120km/h、フル充電時の航続距離は200km以上を実現。2000年からは、国立極地研究所北極観測センターの支援車としても活用され、厳しい気象条件下でも6年間故障することなく、高い信頼性を実現した。 プレーリージョイEVで行われた多くの実走行の実績が、後のリーフの成功に繋がったことは言うまでもない。 ・・・・・・・・ ほとんどの自動車メーカーは、リチウムイオンバッテリーが実用化する前にも鉛バッテリーでEVを開発していた。ただ、鉛電池はリチウムイオン電池に比べて、エネルギー密度と出力密度が1/10程度であり、また繰り返し充電することによって性能が低下するので、実用化は難しいのだ。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純
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