NASA赤外線天文衛星「NEOWISE」ミッション終了 2024年末頃に大気圏へ
NEOWISE衛星の科学観測は2024年7月31日で終了し、科学データの送信が終わった後の2024年8月8日には衛星の送信機をオフにする最後の指令が送信されました。本稿の執筆時点でNEOWISE衛星は高度349km×346km・軌道傾斜角97.14度の軌道を飛行していますが、これは高度約400kmの軌道を周回する国際宇宙ステーション(ISS)よりも低い高度です。 現在は約11年周期の太陽活動がピークに差し掛かっていて、太陽に加熱される地球の大気は太陽活動が静穏な時期と比べて膨張しています。地球低軌道を周回する物体は希薄な大気の抵抗を受けて少しずつ減速しますが、太陽活動が活発な時期は大気が膨張することでより強い抵抗を受けることになります。軌道を維持するための推進システムを持たないNEOWISE衛星は高度がすぐに低下し、2024年末頃に大気圏へ突入する見込みです。 なお、NASAは地球近傍天体の観測を専門とする赤外線宇宙望遠鏡「NEO Surveyor(NEOサーベイヤー)」を2027年9月に打ち上げる予定です。NEO Surveyorは5年間のミッションで幅140m以上の地球近傍天体のうち90%以上の発見を目指しており、潜在的に危険な小惑星を捜索するNASAのミッションはNEOWISEからNEO Surveyorへと引き継がれることになります。 Source NASA - NASA Mission Concludes After Years of Successful Asteroid Detections NASA/JPL - NASA’s NEOWISE Infrared Heritage Will Live On NASA/JPL - NEOWISE Mission Summary NASA/JPL - Near-Earth Object Surveyor Caltech IPAC - The NEOWISE Project
sorae編集部