私の友人は「救急隊員」だそうです。「消防士」とはどう違うのでしょうか? 「年収」の違いも教えてください!
救急隊員と消防士は、どちらも似ている職業であるように見えますが、どのような違いがあるのでしょうか。そこで今回は、救急隊員と消防士の役割や仕事内容、年収の違いについて解説します。また、それぞれの職業の特徴や求められるスキル、キャリアパスについても併せて説明します。 ▼「公務員は安定している」って本当? 定年退職の割合や退職金の平均額を教えて!
救急隊員と消防士の違いとは
一般的に、消防署の救急隊に所属し、救急車で現場に駆けつけるのが救急隊員だとされています。そのなかで一部の隊員が「救急救命士」と呼ばれます。「救急救命士」は国家資格で、消防署で働いていなくても、国家資格を取得しているだけで名乗ることが可能なようです。 救急隊が出動する場合、3名体制と決められていますが、そのうちの1人は救急救命士でなければなりません。 もともと、救急救命士は消防士のためにつくられた資格だったため、同じ資格と思っている方も多いかもしれません。消防士は、救急救命士の資格を持つ消防士と、救急救命士の資格を取得していない消防士に分かれ、特定の医療処置が行えるかどうかで区別されているようです。 一方消防士は、消火や救急、救助などの業務を行う職員のことです。主に「消防吏員」と呼ばれ、階級が10種類あり、最も下の階級のことを「消防士」と呼びます。ただし現在は、消防吏員全体の意味で「消防士」という言葉が使われています。
救急隊員の仕事内容
救急隊員は、医師の指示を受けながら救急搬送中の「応急処置」を行います。そのなかでも救急救命士は、「救急救命処置」を行えるのが特徴です。救急救命士は、5年以上もしくは2000時間以上の救急活動を行ったのち、救急救命士養成所で1年以上学ぶことで、救急救命士国家試験の受験資格を得ることができるといわれています。 救急救命士は、医療処置を行うことができるため、患者の症状悪化を防ぎ、適切な初期対応など救命行為を行います。以前は、救急搬送する際に医療行為を行うことを法律で禁じられていました。 そのため、心肺停止状態になってしまった患者の救命率や社会復帰率は低く、搬送中に苦しむ患者を前に医療行為が行えないことで、患者の周囲の人々から非難を浴びる現状があったのです。 その後1991年4月に一定の条件下で一部の医療行為を行えるよう、救急救命士法が成立しました。救急救命士が行える医療行為は以下のような内容です。 ・医療器具を用いて行う気道確保 ・心肺機能停止状態の患者への輸液 ・心臓機能停止状態の患者に対する薬剤(エピネフリン)投与 ・低血糖発作患者へのブドウ糖溶液の投与 ・心肺機能停止前の患者への静脈路確保と輸液 その後、何度か法改正がなされ現在の役割を担っています。